ビットコイン、2万2000ドル割れ──ステーキングをめぐる懸念広がる

ビットコイン(BTC)は9日、24時間で約4%下落し、2万2000ドルを割った。

クラーケン(Kraken)がSEC(米証券取引委員会)の提訴を受けて米顧客へのステーキングサービスの提供を停止し、和解金3000万ドル(約39億円)を支払うと発表したことで、市場に不安が広がった。日本時間9日10時30分頃には、2万1860ドル付近。

イーサリアム(ETH)も同様に約4%下落し、1569ドル付近。

株式市場では暗号資産関連銘柄も苦戦し、コインベースは9日の取引時間中に14%下落、ビットコインマイニングのマラソン・デジタル・ホールディングスは13%下落、マイクロストラテジーは10%下落した。

ステーキングをめぐる懸念

昨日、コインベースCEOのブライアン・アームストロング氏が、SECは個人投資家によるステーキングを禁止したいと考えているとの噂を聞いたとツイート。クラーケンのニュースはそれに続くことになった。多くのアナリストが今後の展開に懸念を抱いている。

「噂が真実かどうかはまだわからない。だが明確なことは、暗号資産とブロックチェーン技術の重要な革命において、世界の他の国が先行する結果となり、アメリカの観点からは大きな間違いということ」と暗号資産ブローカーGlobalBlockのマーケットアナリスト、マーカス・ソティリオウ(Marcus Sotiriou)氏はコメントした。

堅調な雇用データとインフレ抑制に向けたタカ派的な金融金融政策の長期継続を懸念する一部の投資家は、ビットコインは近い将来、2万ドルのサポートまで下落すると考えている。だが一方で、現在の足踏み状態は一時的なもので、過去の傾向と同様に再び上昇に向かうと考える人もいる。

「現在我々が経験していることは、大きな下落の後に続いた、2019年の上昇とその後の横ばい推移の市場動向に類似しているように思える」と語るのはブロックチェーン開発企業Emurgoのマネージングディレクター、ビニース・ブヴァナギリ(Vineeth Bhuvanagiri)氏。市場は「回復のみならず、買い集め段階」に入り、最終的に2020年の上昇につながったと述べ、「2019年に似た展開になる可能性が高いと思う」と続けた。

暗号資産レンディングプラットフォームLednの共同創業者、マウリシオ・ディ・バルトロメオ(Mauricio Di Bartolomeo)氏は、ショートの清算は通常、価格上昇を促すが、最近のビットコインのショート清算が見られないことは「横ばい展開がしばらく続くかもしれない」ことを示していると述べた。

暗号資産データプラットフォームCoinglassのデータを見ると、過去7日間のビットコインショートポジションの清算は約4200万ドル、ロングポジションの清算は約9000万ドルとなっている。

「下にも上にも適度なレバレッジがかかっている。今は、短期的には横ばい推移という状況だろう」(バルトロメオ氏)

ビットコインは2022年、約60%下落したが、1月に回復を見せた。メッサーリ(Messari)の最新の四半期レポートによると、「中央集権型取引所から自己保管ウォレットへの大量のビットコインの移動」「日々のアクティブアドレスと取引の増加」といった最近の市場指標は「市場の底打ちの可能性」と「投資家の長期的な信頼感の持続」を示しているという。

「ビットコインを取り巻く誇大広告は減ったが、ネットワークはこれまで、疑念の期間の後に人気が復活することを経験している」とメッサーリはレポートに記している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Drops Below $22K as Kraken Agreement to Close Crypto Staking Operations Spooks Investors