暗号資産取引所は「適格カストディアン」とは限らない:ゲンスラーSEC委員長

SEC(米証券取引委員会)のゲイリー・ゲンスラー委員長は、暗号資産(仮想通貨)取引所が投資顧問会社にとっての安全な適格カストディアンになり得るとのアイデアを否定した。

3月2日に開催された投資家諮問委員会(Investor Advisory Committee:IAC)でゲンスラー委員長は、暗号資産を含む資産の保管を適格カストディアンに依頼するよう投資顧問会社に指示する、最近提案された規則は、既存の保護規則に「重要な強化」をもたらすと述べた。また委員長は、暗号資産取引所はこれらのガイドラインのもとで安全とみなされるべきではないとした。

「暗号資産取引・貸出プラットフォームが一般的に運営されている方法に基づき、投資顧問会社は現在、適格カストディアンとしてそれらを信頼することはできない。明確にしておくと、暗号資産取引プラットフォームが適格カストディアンだと主張したからといって、そうだとは限らない」

ゲンスラー委員長は、最近の暗号資産業界での倒産事例をあげ、それらのプラットフォームで保有されていた顧客の財産が、顧客に直接返還されるのではなく、破産財産の一部となっていることを指摘した。

「今回の提案は、ファンドや証券だけでなく、投資家の全資産を対象とする、2010年に議会が定めたカストディルールの拡大規定に取り組んだもの。米議会は、金融危機とバーニー・マドフの詐欺事件を受けて、カストディ・ルールを拡大する新たな権限をSECに付与した。カストディ・ルールの拡大は、投資アドバイザーが投資家の資産を不適切に使用したり、乱用したり、失ったりしないようにすることに役立つだろう」とゲンスラー委員長は述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:SEC Chair Gensler Says Crypto Exchanges May Not Be ‘Qualified Custodians’Gary Gensler