「質への逃避」でビットコインが人気──ステーブルコインからも高ボラティリティのコインからも資金が移動

ビットコイン(BTC)は、金融システムの不安定さ、連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派でなくなることを可能にするインフレ率の低下、そしてステーブルコインを襲った規制のオーバーハングから利益を得ていると、暗号資産(仮想通貨)サービス企業のMatrixportは3月16日に報告書で述べている。

「この3つの傾向が続くと、ビットコイン価格は高止まりし、上昇を続ける可能性がある」と、リサーチ&戦略責任者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は書いている。

Matrixportは「投資家は今、目を覚ました」とし、FRBの金利政策が一部の投資ポートフォリオに深刻なダメージを与え、経済の金融安定性を脅かしていることを指摘する。

「質への逃避」が同時に起こっていると、報告書は述べている。

ベータ、つまりボラティリティの高い暗号資産からビットコインへの移行と同時に、ボラティリティの低いステーブルコインからの移行も起きている。パクソス(Paxos)のバイナンスUSD(BUSD)が規制当局の監視を受けたとき、資金はBUSDからBTCに移動し、サークル(Circle)のUSDコイン(USDC)がペッグを失ったときにはUSDCからのフローがあった。ステーブルコインとは、価値が米ドルや金などの他の資産にペッグされている暗号資産の一種だ。

また、FRBの利上げ政策により、国債の価格が下落し、銀行のポートフォリオの価値が低下した。さらに、この1週間のシルバーゲート銀行(Silvergate Bank)、シリコンバレー銀行(Silicon Valley Bank:SVB)、シグネチャー銀行(Signature Bank:SBNY)の破綻が金融市場を揺るがした。

「質への逃避」とは、投資家がリスクの高い投資と認識したものを売却し、より安全な資産を購入することだ。

証券に分類される可能性も、多くの暗号資産にとって過大な負担となっていると報告書は付け加えている。

「規制への明確な道筋があるように見える一方で、規制を逃れられるものもあるのだという理解がある」と報告書は述べ、規制当局や中央銀行がビットコインを証券ではなくコモディティとして分類していることを指摘している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:ShutterStock
|原文:Bitcoin Is Benefiting From Crypto’s Flight to Quality: Matrixport