中国の「クレジットインパルス」上昇、ビットコインの追い風か

米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めのスタンスを維持する一方で、中国はもはや与信拡大を躊躇していないように見え、暗号資産(仮想通貨)をはじめとするリスク資産にとってポジティブサインとなっている。

データサイトのMacroMicroによると、中国のクレジットインパルス指数(credit impulse index:国内総生産に占める新規の与信または銀行融資の比率)は年初の24%から26%に上昇している。

中国のクレジットインパルスの上昇は、グローバルな金融サイクルを後押し、リスクセンチメントを支え、アセット価格と融資を拡大する可能性があるとFRBは11月に発表した文書に記している。

中国の新規銀行融資は過去最高に

ビットコイン(BTC)はリスク資産であり、多かれ少なかれ、株式市場と連動している。クレディ・スイスによると、歴史的に中国のクレジットインパルスとアジアの株式市場には強い相関関係があるという。

さらに過去、中国で与信拡大の時期はビットコインの弱気から強気へのトレンド転換と重なっている。つまりクレジットインパルスの継続的な上昇はビットコインにとって好材料となる可能性がある。

中国の新規銀行融資は2023年第1四半期、前年同期比27%増、過去最高の10兆6000億元(約1兆5400億ドル、約205兆円)を記録した。

「この流動性の潮流は、リスク資産と暗号資産を牽引し続けるだろう」と暗号資産流動性ネットワークParadigmの機関投資家販売ディレクター、デビッド・ブリッケル(David Brickell)氏は4月初めにニュースレターに記した。

MacroMicro/CoinDesk

クレジットインパルスと一致するビットコインの動き

中国のクレジットインパルスは、2020年3月の新型コロナウイルス感染拡大による市場下落の後に急上昇。ビットコインはその後の12カ月で6倍に上昇し、6万ドルを超えた。

ビットコインは今年、中国のクレジットインパルスが上昇傾向となるなか、弱気相場から回復して70%以上上昇している。2015年5月、2018年12月にもクレジットインパルスが底を打った後、同様に上昇している。

アナリストは、今後数カ月のうちに、中国で一層の信用拡大が起きると見ている。

「中国の信用サイクルは底を打った。シャドーバンクの与信とエクイティファイナンスが増加しているために回復は続くだろう」とBNPパリバ・アセット・マネジメントのAPAC担当シニアマーケットストラテジスト、Chi Lo氏は3月29日に発表した文書で述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:MacroMicro/CoinDesk
|原文:China’s ‘Credit Impulse’ Is Picking Up. Here’s Why It Matters to Bitcoin