CoinDesk「注目すべきプロジェクト 2023」:暗号資産の理念に立ち返る

暗号資産(仮想通貨)のパイオニアとなったビットコインは、課題解決のために発明された。我々はその視点に立ち返り、19のプロジェクトとそれらが解決しようとしている課題に焦点をあてた。


ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)はこの3年間、アメリカ人を対象に暗号資産投資ついて調査を行ってきた。「ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの暗号資産に投資、あるいは取引や利用したことがある」人の割合は、2020年以降、約16%にとどまっている。

さらにこの春、同センターは人々が暗号資産について、どのように感じているかを調査。暗号資産について聞いたことがある人は88%、75%は「暗号資産は信頼でき、安全であることに、あまり/まったく自信がない」と回答。非常に自信があると答えたのはわずか6%だった。

暗号資産に対する信頼はきわめて低い。

我々はすでに理解していた。12月に発表した「暗号資産で最も影響力のある人物 2022」では、暗号資産の1年を彩った50人を選出。リストのかなりの部分が、顧客の資産を枯渇させた詐欺師やソシオパス(社会不適合者)に関するものになった。議会、主要メディア、一般市民が暗号資産に厳しい目を向けていることは理解できる。

言うまでもなく、2022年は暗号資産にとってアンチテーゼとなった。暗号資産は2009年、壊れたグローバル金融システムの救済策として発明された。強欲な人物やペテン師を金持ちにするためのものではない。

CoinDeskは暗号資産の理念に立ち返り、課題を解決することで暗号資産の理念を実現するプロジェクトを探した。暗号資産がどのような課題を解決できるのかを議論し、エコシステム内の課題と世界全体の課題に大きくわけることにした。そして、具体的な課題解決を目的としたプロジェクトを検討し、35以上のプロジェクトから19を選び出した。

まだスタート直後のプロジェクトもあれば、何年も前から存在するプロジェクトもある。資金の規模も立ち上げフェーズから数千万ドル、財団などからの非公開のサポートまでさまざま。

我々はプロジェクトの選出に制限をあまり設けなかった。暗号資産関連組織にはさまざまな形態がある(伝統的なスタートアップからDAO、大企業まで)。どれもまだ比較的新しく、たとえ数十億ドルの価値と評価されていてもまだあまり知られていない。

我々が求めたものは、イノベーティブなアイデア、説得力のある提案、成功の証拠、そして優秀で献身的な人材。さらにプロジェクトが解決を目指す課題は現実のもので、解決策を必要としていること。例えば、従来の金融で適切に管理されているものを暗号化しただけのものや、純粋に投機や遊びのものは除外した。

以下が、CoinDeskが選出した「注目すべきプロジェクト 2023」。解決を目指している課題ごとにグループ分けしている。

金融サービスを身近なものに

新型コロナウイルス感染拡大により、銀行サービスなどへのデジタルサービス導入が加速し、迅速かつ柔軟で信頼性の高いサービスが実現できることが証明された。しかし世界銀行によると、銀行口座を持たない成人(多くは農村部の低学歴の女性)が14億人も存在する。暗号資産はそうした障壁を下げることができる。

■ビットコインビーチ(Bitcoin Beach)

ビットコインが地域経済を維持できることを証明

■マチャンクラ(Machankura)

アフリカの人々がベーシックな携帯電話を使って、暗号資産を売買できるようにした

■センド・グローバリー(Send Globally)

外国人労働者に本国に送金するための迅速かつ安価な方法を提供

次の10億人への普及を目指して

これは、暗号資産エコシステムの存亡に関わる問題だ。暗号資産、Web3、ブロックチェーンが今後も発展を続けるために、いかにしてマスへの普及を実現するか? それは便利で有用なものにし、使いやすくすることだ。

■フェディ(Fedi)

暗号資産を安全に保管するために信頼できる友人や家族との関係を活用する

■イミュータブル・パスポート(Immutable Passport)

複数のメタバースを行き来するゲーマーのためのシングルサインオン

■ラミナ1(Lamina1)

オープンメタバースの基盤

■レインボー(Rainbow)

カストディをユーザーフレンドリーに、安全に

ブロックチェーンの安全性を確保

暗号資産ではセキュリティは常に課題。ブロックチェーンは量子コンピューティングのような巨大な脅威に直面し、ユーザーは取引の検証、ウォレットやアカウントの安全性の確保に頭を悩ませている。

■BTQ

「量子コンピューター」という未来的な脅威に対する防御

■スタークネット(StarkNet)

アカウント抽象化を用いて取引とアカウントの安全性を確保

ブロックチェーンの透明性を確保

ブロックチェーン上の取引はすべて公開されているが、少なくともほとんどのユーザーにとって、詳細は決して透明ではない。チェーン上で何が起きているかを理解することで、違法行為の特定やマーケット・インサイトに役立てることができる。

■アーカム・インテリジェンス(Arkham Intellligence)

オンチェーン取引のトレーサビリティを実現

■ナンセン(Nansen)

オンチェーン・アクティビティに関するデータを提供

ブロックチェーンをスケーラブルに

ブロックチェーンがより有用になるにつれて、取引はときにエネルギーをより消費して高価になり、遅くなることがある。

■=nil; ファンデーション(=nil; Foundation)

開発者がブロックチェーンのデータを保存することを、オンチェーンとオフチェーンで支援

■スクロール(Scroll)

イーサリアムブロックチェーンをスケーラブルでセキュアにするために、ゆっくりとした正確なアプローチを採用

気候変動の緩和

人類は地球の資源を奪い、大気中に多くの二酸化炭素を放出している。ブロックチェーン技術は、人類の行動や振る舞いを監視し、持続可能な代替案を奨励することができる。

■リジェン・ネットワーク(Regen Network)

エコロジーに配慮した行動へのインセンティブを高める

■シャムバ・ネットワーク(Shamba Network)

農地の状況をモニタリングしてデータを提供

災害被災者への支援

災害が発生すると、人々はしばしば人道支援団体にお金を送る。だが、元気を必要としている人たちに届けることは複雑な作業。暗号資産は、そのプロセスを迅速化・簡略化し、しかも安価に提供することができる。

■センポ(Sempo)

危機的状況にある人々にインターネットアクセスがない状態でもデジタルキャッシュを提供

■ステラ・エイド・アシスト(Stellar Aid Assist)

デジタルキャッシュでの支援のためのオール・イン・ワン・システムを支援団体に提供

インフラを拡大

先進国では人間と自然な会話ができる高度なロボットの開発に取り組んでいる。一方、そうでない地域では、信頼性の高い電力を維持できないところもある。

■グリッドレス(Gridless)

ビットコインマイニングを通じて、遠隔地の農村に電力を供給

ソーシャルメディアの中央集権的なコントロールと検閲に抵抗

Crypto Twitter(ツイッター上での暗号資産の議論、あるいは議論の場としてのツイッター)は、さまざまな暗号資産愛好家にとって非公式な広場だ。しかしイーロン・マスク氏による買収後、ツイッターは私物化され、気まぐれに規制されるようになり、Crypto Twitterのみならず、多くの人たちが離れつつある。暗号資産コミュニティは分散型の代替手段を提供している。

■ノストル(Nostr)

検閲のない分散型ソーシャルネットワークを実現

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Rachel Sun/CoinDesk
|原文:Reclaiming Purpose in Crypto: CoinDesk’s Projects to Watch 2023