さようなら、ビットコイン弱気相場【オピニオン】

2022年から2023年にかけてのビットコイン(BTC)弱気相場は厳しかった。2018年から2019年にかけての弱気相場のときもビットコインを保有していた私としては、今回は少し短く、下落幅は前回ほど劇的ではなかったとはいえ、同じくらいつらい経験だった。

今回の方が投資額が大きかったことが、厳しさを感じた理由だったのかもしれない。あるいはメインストリームのメディアの報道が、もっと事実に基づいたものであって欲しいという希望が打ち砕かれたからかもしれない。残念ながら今回も、規制や量子コンピューター、環境への影響など、以前と変わらない問題について心配しなければならなかった。

とにかく、今回の弱気相場の終わりが見えてきたことを喜ばしく思っている。確かなことなど何もないが、2020年3月13日に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けてビットコインが暴落したときのような、驚くようなネガティブな動きがなければ、2022年から2023年にかけてのビットコイン弱気相場は終わりと言っていいだろう。その理由を紹介しよう。

弱気相場終了の根拠

半減期が近づいている:ビットコインの発行スピードを遅らせる半減期はおよそ4年ごとに起こる。ここ2回の半減期はどちらも、強気相場の大きなきっかけとなった。

その理由はシンプル。保有に対する需要が一定ならば、供給量に下方圧力が加わることで、価格は上方に調整される。需要と供給が常に価格を決定しており、供給量が減れば、価格は上がる。次の半減期まで1年を切っている。

一見さんはいない:半減期をきっかけとした強気相場が始まると常に、勢いに乗ろうと大量のトレーダーが押し寄せる。ビットコイン価格の上昇を見て、トレーダーが殺到する。こうしてバブルが発生し、最終的にピークの数カ月後には市場から押し流される。

「未使用のトランザクションアウトレット(UTXO)」の平均時間からわかる通り、現在私たちはすでに押し流されるポイントを過ぎている。価格上昇につられてやってくる一見さんはおらず、長期保有者(HODLer)が残っている。

悪いニュースが新たな安値を引き起こすことはない:暗号資産には昨年、悪いニュースが数多く見られた。そしてビットコイン価格にも影響を与えた。テラ(Terra)、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)、セルシウス・ネットワーク(Celsius Network)、ブロックファイ(BlockFi)、ボイジャー・デジタル(Voyager Digital)、FTXなどが破綻した。

しかし今年は、ジェネシス(Genesis)の破綻や、デジタル・カレンシー・グループ(DCG)、グレイスケール(Grayscale)、バイナンス(Binance)にまつわる懸念がビットコインを新たな安値へと引きずり下ろすことはなかった。悪いニュースを受けて売却するような人はすでに市場から撤退している。

サイクルは繰り返す:いずれビットコインは4年ごとの価格サイクルを抜け出すだろう。それまでは「デジャブ」を繰り返す。

2014年から2015年にかけての弱気相場では、ビットコインは350ドル付近で推移し、最終的には200ドルまで下落、その先何カ月もその水準にとどまった。2018年から2019年にかけての弱気相場では、6000ドル付近で推移し、最終的には3200ドルまで下落した。そして2022年から2023年にかけての弱気相場では、2万8000ドル付近で推移し、最終的に1万6000ドルまで下落。何カ月もその水準にとどまった。

このようにビットコイン価格はピークと数カ月におよぶ低迷、そして最終的には40%超の下落という過去のパターンを繰り返してきた。

今後の見通し

では、今後はどうなるだろうか? ここでは短期的な価格予測は行わないが、4年サイクルが再び繰り返されれば(私はそうなると考えているが)、以下のようなことが起こるだろう。

再び1万6000ドルになることはない:2サイクル前、ビットコイン価格は最終的な安値から回復した後、再び下落することはなかった。1サイクル前では、安値に戻りかけたが、それは新型コロナウイルス感染拡大による大規模な下落が原因だった。次のビットコイン半減期まで1年を切っており、想定外の出来事がない限り、ビットコイン価格は底を打った可能性が高い。

規制の影響は受けない:ビットコインは規制当局からの圧力に対して、比較的影響を受けにくいことを証明してきた。ビットコインはコモディティであり証券ではないことは、すでに長い間明確になっている。

私が知る限り、最も好戦的な米証券取引委員会(SEC)委員長であるゲンスラー委員長でさえも、明らかにコモディティである(つまり、証券ではない)暗号資産がただ1つあると認めている。もちろんビットコインだ。

ゲンスラー氏が委員長であってもなくても、SECはおそらく、暗号資産の大半は証券だとする姿勢を維持するだろう。だがそうしたリスクはビットコインにはまったく無関係だ。

ファイナンシャルアドバイザーや機関投資家のビットコイン投資はきわめて少ない:私はスワン・アドバイザー・サービス(Swan Advisor Services)に関わっている経験から、ファイナンシャルアドバイザーやスワンの顧客は、ビットコインへの投資がきわめて少ないと考えている。

かつてのサイクルでは、そうしたスタンスについて、合理的なプロダクトが不足していることや規制上のリスクなどを言い訳にできた。広範な暗号資産市場では、こうした問題はおおむね変わっていない。しかしビットコインついては、問題はほとんど解消されている。したがって、次の強気相場では、ファイナンシャルアドバイザーはビットコインを大幅に採用するようになると期待している。

さて、私たちは次に何をするべきだろうか?

投資戦略にビットコインを含めるメリットについて勉強するには良い機会だろう。ビットコインの弱気相場は、ビットコインを買い集めるには最適な時期。弱気相場の終わりは、分散投資型ポートフォリオに真にユニークな資産を加える絶好の機会でもある。次のビットコイン強気相場はおそらく、始まったばかりだ。

※本記事は教育と情報提供を目的としており、金融アドバイスではありません。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Hans-Jurgen Mager/Unsplash
|原文:Bye-Bye Bitcoin Bear