英金融サービス大手TP ICAP、機関投資家向け暗号資産取引所を開始

世界最大のインターディーラー・ブローカー、TP ICAPは先週、暗号資産スポット取引を行うマーケットプレイス「Fusion Digital Assets」が最初の取引を完了し、稼動したと発表した。イギリスを拠点とする同社は、長引く弱気相場、業界を揺るがした数々のスキャンダルにもかかわらず、多くの機関投資家に暗号資産を提供しようとしている。

TP ICAP Groupのデジタル資産担当グローバル共同責任者サイモン・フォースター(Simon Forster)氏は「暗号資産にまつわる状況はまだ少し暗い感じがするが、私たちの伝統的な顧客ベース、および私たちが顧客と築いてきた関係を見ると、実際はかなり楽観的と感じる」とCoinDeskに語った。

「興味深いものを構築している人たちがたくさん存在する。そして、2022年は、暗号資産の状況が、おそらく永遠に変わらない変化を遂げた分水嶺の瞬間のように感じる」

伝統的な金融に特化した各社は、投資家にサービスを提供する以前に、厳格なガバナンスと規制ストラクチャーを整える必要があり、新しいマーケットプレイスの立ち上げは長く、難しいプロセスだ。TP ICAPは、機関投資家に馴染みのあるインフラの提供を目指しているとフォースター氏は述べた。取引所、カストディ、その他の事業を組み合わせた垂直統合型の暗号資産取引所は、利益相反を引き起こす可能性があると考えている。

Fusion Digital Assetsは、分割型の運用ストラクチャーになっており、ノンカストディの暗号資産取引所であるTP ICAPのFusion電子取引プラットフォーム、顧客資産を保有・決済するカストディアンとしてのFidelityのDigital Assets SM、Flow TradersやXBTO Globalなどの流動性提供元から構成されている。投資家の選択肢を増やすために、将来、カストディアンを追加導入する予定だ。

最初の取引は、ビットコインと米ドル(XBTUSD)のペアだった。同マーケットプレイスは現在、ビットコインとイーサリアム(ETH)の対米ドル取引をサポートしており、顧客需要に応じてサポートする資産の拡大を図ろうとしている。

TP ICAPのデジタルアセット部門は2019年設立。2022年、暗号資産に関連したETP(上場取引型金融商品)を取引する機能を提供すると発表し、英金融行動監視機構(FCA)に登録した後、12月にイギリスの暗号資産ライセンスを取得。これによりFusion Digital Assetsのイギリスでのサービスが可能になった。

規制当局の認可が下り次第、対応地域を追加していく予定とフォースター氏は述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:TP ICAPにWebサイト(キャプチャ)
|原文:TradFi Giant TP ICAP Brings Crypto Spot Trading to Institutional Investors