ビットコイン、FRBパウエル議長のタカ派発言で2万6900ドルまで下落

米連邦準備理事会(FRB)は20日、広く予想されていた通りに金融政策を現状維持し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を5.25~5.50%に据え置いた。

見通しの上方修正でビットコイン価格は下落

FRB当局者らはまた、来年の金利を5.1%程度に維持することを予測しており、6月時点の予測の4.3%と比べて大幅に上昇した。また、今年の力強い経済成長を見込んでおり、実質国内総生産(GDP)伸び率の予測は6月時点の1%に対し2.1%に上昇した。

FRBは声明で、「インフレ率を次第に2%に戻すのに適切と思われる追加の金融引き締めの程度を決定する際に、委員会は金融政策の累積的な引き締め、金融政策が経済活動とインフレに影響を与える時間差、経済・金融の発展を考慮する」と表明した。

ビットコイン(BTC)価格は、FRBの発表後の数分間は2万7200ドル(約394万4000円、1ドル145円換算)付近で横ばいだった。しかしその後、パウエルFRB議長が記者会見で、経済が引き続き予想よりも好調であればFRBは追加利上げを行うと発言。約1%下落して2万6900ドルとなった。

パウエル議長はさらに、残り2回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合中にFRBが目標を達成するには「あと1回の利上げを行う可能性は、それが適切ではない可能性よりも高い」とFRB理事の大多数が考えているとも述べた。また、最近のインフレ傾向は正しい方向に向かっているとの認識を示し、過去3カ月の結果は「非常に、非常に良好」だったと述べた。

次回のFOMC会合は11月初めに予定されている。今日のイベントを受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールでは、市場参加者は11月会合で政策金利変更がない確率が約71.5%、年末まで政策金利が現行水準に維持される確率は53.4%と予想している。

ビットコインの価格はどうなる?

AltTab CapitalのIR責任者であるマイケル・シルバーバーグ(Michael Silberberg)氏は電子メールで、「今日の発表をあまり楽観的に受け止めるのは難しい」とし、「報告で、これまでの予想よりも緩やかな利下げの進行が強調されたのは驚きだった」と述べた。

暗号資産・マクロアナリストのノエル・アチソン(Noelle Acheson)氏は電子メールで、「大きなニュースは、2024年の金利予測だ。私の予想よりも高かった。これは非常に大きなシグナルだ」とし、「2回の利下げを事実上テーブルから外すことで発せられたメッセージであり、利下げが市場が期待していたよりも遅れることを示唆するものでもある」と述べた。

アチソン氏は、「金利上昇、ドル高、株式市場の下落はビットコインにとって良くない」としたが、暗号資産市場がこのニュースを比較的良好に受け止めていることを認めた。現在の水準には何らかの「買い支え」がある可能性があることが示唆されている。

市場調査会社Asgard Marketsは、FRBの決定を受けて利益確定が出るだろうと予想。20日に発表したメモで、「ポジショニングとセンチメントが今年これ以前ほど軽くはなく、極端な価格でないことや、今後新たな材料が多く出てくるわけではないことにより、『イン・ザ・マネー(利益が出る状態)』の参加者はテーブルからいくつかのチップを取り出して再評価することになるだろう」と述べた。

グレイスケール・リサーチ(Grayscale Research)のエコノミストであるザック・パンドル(Zach Pandl)氏は電子メールで、「FRBはソフトランディングという考えを受け入れている。より強い成長と失業率の低下が見込まれており、それでもインフレ目標への回帰を期待している」と述べた。

パンドル氏は、「最後のソフトランディングは1990年代半ばで、テクノロジー関連資産にとって素晴らしい結果となった。ソフトランディングするかどうかは確信が持てないが、そのシナリオはビットコインとイーサリアムにとってプラスとなる可能性がある」と指摘した。

|翻訳・編集:林理南
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|原文:Bitcoin Tumbles to $26.9K on Hawkish Remarks by Federal Reserve’s Powell