JPモルガン、2024年の暗号資産市場に対して慎重な見方を崩さず

ウォール街の金融大手JPモルガン(JPMorgan)は、2024年の暗号通貨(仮想通貨)市場について慎重な見方を示しているが、イーサリアムブロックチェーンの拡張性を高めるアップグレードにより、イーサリアム(ETH)がビットコイン(BTC)や他の暗号資産を上回ると考えている。

アメリカ証券取引委員会(SEC)がビットコインの上場投資信託(ETF)の承認可否を決定しても、大きな上昇に拍車がかかる可能性は低いと、JPモルガンは12月13日の報告書で述べた。

ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるアナリストは、「来年初めにSECがビットコインのスポットETFを承認すれば、『噂で買い、事実で売る』となる可能性が高い」と書いている。

「SECによるビットコインのスポットETFの承認が目前に迫っていることから、暗号資産投資家による過剰な楽観論がビットコインを2021年に見られた買われ過ぎの水準にシフトさせている」とJPモルガンは述べ、2024年のビットコインの半減イベントは「ほぼ織り込み済み」だと付け加えた。

一方、イーサリアムはEIP-4844のアップグレード、つまり「プロト・ダンクシャーディング」によって輝きそうだ。これは、シャーディング(ネットワークをシャードに分割してトランザクション速度を向上させること)を発展させたもので、シャードを使ってデータグループのスペースを増やすダンクシャーディングの手法をとる。プロト・ダンクシャーディングでは、イーサリアムに新しいトランザクションタイプ、「ブロブ・キャリング・トランザクション」を追加する。

JPモルガンは、2023年第4四半期にベンチャーキャピタル(VC)の資金調達に若干の「再活性化」が見られるが、それは「かなり暫定的なもの」に見えると指摘している。

分散型金融(DeFi)の活動にはある程度の改善が見られたが、「最大の失望は、引き続きDeFiが従来の金融システムに入り込めないことだ。それは暗号資産エコシステムが暗号資産ネイティブから現実世界のアプリケーションに移行するために必要なことだ」と報告書は付け加えている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:JPMorgan Is Cautious About Crypto Markets Into 2024