ビットコインETFの動きはイーサリアムETFへの教訓に
  • ビットコインのインプライド・ボラティリティは、アメリカ証券取引委員会がスポットETFを承認して以来暴落しており、イーサリアムETFへの期待に焦点が移る中、ボラティリティ・トレーダーにとっての教訓となっている。
  • 今年後半と予想されるETFのローンチに先立ち、またそれに続いて、イーサリアムがどのような動きを見せるかを探るトレーダーは、オプションの価格がどのように決定されるかをトレースするとよいだろう。

実際のトークンに投資するビットコイン(BTC)上場投資信託(ETF)が1月11日、アメリカで取引を開始した。この投資商品は何年も待たされた末に、アメリカ証券取引委員会(SEC)が10日に承認したことで誕生した。

デビューまでの数週間の間にいくつかの出来事があったが、投機筋が次のETF承認候補としてイーサリアム(ETH)に注目する中、インプライド・ボラティリティ(IV)とオプション市場に関連するいくつかの出来事は注目に値する。

IVは価格の乱高下に対する投資家の予想を表し、コール・オプションとプット・オプションの価格にプラスの影響を与える。コール・オプションの買い手は価格上昇から利益を得たり、価格上昇をヘッジすることができ、プット・オプションの買い手は価格下落から保護を受けることができる。

ある銘柄の決算日やスポットETFの申請に関するSECの決定など、二者択一的なイベントに直面したとき、トレーダーはIVの上昇から利益を得る「ベガロング」ポジションを構築するためにオプションを買いがちだ。しかし、この戦略は、イベント後にボラティリティが暴落し、その結果、オプション価格が下落する可能性にトレーダーをさらすことになる。

暗号資産クオンツ研究者のサムニート・チェパル(Samneet Chepal)氏によると、これはまさにビットコイン市場で起こったことであり、承認発表当日にボラティリティのロングポジションを持つことは危険であるという教訓をイーサリアム・トレーダーに与えたという。

「今はボラティリティが赤一色だ。イーサリアムETFのストーリー展開で覚えておくべきことがある。値動きは通常、重要な日のかなり前に盛り上がるが、イベントが近づくにつれてボラティリティが急上昇することがよくある。実際の発表までに、ボラティリティがネットロングであることは理想的ではないかもしれない」とチェパル氏はXで述べた

「イーサリアムETFについては『ベガショート』ポジションを検討することが現実かもしれないと、ビットコインETFでこの道を歩んできた我々は、少しの洞察を得ている」とチェパル氏は付け加えた。

米SECがスポットETFを承認して以降、7日IVが暴落している。(Amberdata)

ビットコインの価格は10月初旬にETFの楽観論で上昇し始めたが、年率換算した7日間のIVは今月に入り急上昇し、SECの承認を前に96%に達した。しかし、それ以降は52%まで低下している。

オプション価格に注目しよう

ビットコインはETFローンチまでの3カ月間で60%以上上昇した。それでも、今週初めのコンセンサス予想では、1月10日の承認発表後の「ニュースで売る」の可能性を否定し、上昇するとされていた。

しかし、オプションは承認後の冷却期間を警告していた。今週初め、ビットコインのプットがコールに対してプレミアムで取引され始め、洗練された市場参加者による価格下落に対する保護を求める兆候が見られた。

11日にスポットETFが取引を開始した後、ビットコインは4万6000ドルから4万9000ドル以上に上昇した。しかし、この急騰は短期間で終わり、その後価格は4万6000ドル近くまで後退している。

そのため、トレーダーはイーサリアムのスポットETFが開始される可能性を追いながら、イーサリアムのオプションがどのように価格決定されるかを注視しておくとよいだろう。

ブラックロック(BlackRock)を含む複数の企業が2023年11月にイーサリアムのスポットETFを申請している。承認期限が最も早いのはVanEckのETFで5月、次いでブラックロックのETFが8月だ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Amberdata
|原文:Bitcoin ETF Debut Serves as a Lesson for Ether ETF Speculators