楽天キャッシュで利息受け取り──国内初、全額電子マネー利払いの社債セキュリティ・トークン

「楽天キャッシュ」で利息が支払われる社債セキュリティ・トークン(ST)が登場する。

大和証券グループ本社、大和証券、楽天証券、楽天ペイメント、みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行、プログマ(Progmat)は2月21日、利息を電子マネー「楽天キャッシュ」で支払う社債STの発行に向けて協業すると発表した。利息が電子マネーで支払われるセキュリティ・トークンは国内初。

銘柄の名称は「株式会社大和証券グループ本社 第1回無担保セキュリティトークン社債(社債間限定同順位特約および譲渡制限付)、愛称「大和証券グループ本社セキュリティトークン社債」。

発行総額:10億円、1口あたり金額:10万円、年限:1年。大和証券、楽天証券が引き受け(仲介)を行い、個人投資家向けに販売する。基盤にはPromatを使用する。

(リリースより)

今回の社債STには、2点の注目すべきポイントがある。

1つ目は、楽天証券がセキュリティ・トークン市場に参入したこと。大手ネット証券の参入は、SBI証券に次いで2社目。プログマの代表取締役 Founder and CEO、齊藤達哉氏は「投資家層の裾野拡大の観点から、対面証券以外のチャネルにも拡大/多様化する動きは非常に重要」と述べている。

2つ目は、利息が電子マネーで支払われること。今回は「楽天キャッシュ」だが、他の電子マネーを使用することも可能だ。電子マネーの利用促進はもちろん、特定の「◯◯経済圏」に向けて、特定の電子マネーを使うことで、ST投資家を経済圏に囲い込み、ファン化を促すこともできる。

さらにSTを通して、ST投資家の経済圏へのエンゲージメントを高めることができると判断できれば、従来の社債に比べて、より好条件で発行することも可能になるだろう。

社債STには、リアルタイムで投資家の情報を把握できるという従来の社債にはないメリットがあったが、電子マネーと組み合わせることで、より可能性が広がることになる。

|文:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock