ビットコイン、次の「DeFiの夏」の原動力に【Future of Bitcoin】

2023年、我々は「暗号資産の冬」に別れを告げた。そして今、新たな「DeFi(分散型金融)の夏」を迎える時が来た。その中心となるのは、今最も話題性があり、かつ耐久性のあるトレンドであるビットコイン(BTC)だ。

オーディナルズ(Ordinals)が需要を証明し、ETF(上場投資信託)がアクセスを提供し、ビットコイン・スケーリングソリューションが台頭するなか、2024年は1兆ドル規模の資産クラスがこれまでにない方法で解き放たれることになりそうだ。

2020年の最初の「DeFiの夏」は、スマートコントラクトを中心に、シンプルな台帳と資産管理にとどまらないブロックチェーンの有用性を解き放った。ブロックチェーンは、広大で相互運用可能な金融エコシステムプラットフォームへと変貌を遂げた。

イーサリアム・バーチャル・マシン(EVM)上では、世界中の人々が実質的に自分自身の銀行となり、何百もの相互運用可能な金融アプリケーションにアクセスできるようになった。この進化は、気まぐれな人間ではなく、不変のコードが管理する金融の希望あふれる未来を垣間見せてくれた。

「DeFiの夏」が展開されるにつれ、DeFiを支えるテクノロジーと熱意は、金融以外のブロックチェーンアプリケーション、とりわけNFTにまで拡大した。

ブロックチェーンは、金融システムの基盤となるだけでなく、芸術、文化、ゲームのハブにもなることでその多用途性を示した。「次は何か」という絶え間ない探究心に後押しされ、ブロックチェーンテクノロジーは考え得るあらゆるユースケースに拡大し、ブームの絶頂期にはその中核的な有用性や実用性を超えることもしばしばあった。

最終的に、NFTとブロックチェーンの拡大にまつわる当初の盛り上がりは、2022年の「暗号資産の冬」には恐怖に変わった。しかし、それでNFTが終わることはなかった。

2023年には、NFTが今度はビットコインブロックチェーン上のオーディナルズ(Ordinals)という形で強力に復活したこともあり、ブロックチェーンをめぐる熱気が回復した。

「DeFiの夏」が新たなブロックチェーンの機能を明らかにしたことと同様に、オーディナルズとBRC20トークンはビットコインの可能性を示し、ブロックチェーンテクノロジーの将来の可能性に対する興奮を呼び起こした。

だがそこで、疑問が生じた。ビットコインがNFTやトークンをサポートできるのであれば、その比類ない安全性と人気は他にどのような用途をカバーできるのだろうか?

BTCFi(ビットコイン金融)を解き放つ

振り返ってみると、2021年のNFTブームはハイプサイクルのフェードアウトと解釈できる。価値あるテクノロジーではあったが、DeFiの大きな技術的盛り上がりの余波という要素が強かった。

これとは対照的に、オーディナルズをめぐる現在の熱狂は、新たなサイクルのフェードインのように感じられる。間違いなくその後の展開に影響を及ぼすであろう、新たに発見された需要を象徴している。

単に過去のユーティリティの繰り返しではなく、その可能性が今まさに開花しようとしている、興味深い展開だ。

オーディナルズとBRC-20の登場以前は、ビットコインはブロックチェーンエコシステムの中で受動的な役割のみを果たし、基本的な資産機能以上のものはほとんど提供しないという考え方が広まっていた。だが、この認識は劇的に変化した。使い勝手の観点から多くの重要な進展があったおかげで、ビットコインはDeFiにとって重要なセキュリティ・プロバイダーとして、また新たな実用性と相互運用性を備えた資産として台頭しつつある。

ビットコインDeFiの将来には、ビットコインネットワークのセキュリティをEVMと互換性を持つスマートコントラクトにもたらすことが含まれる。

EVMとの互換性を持つ主要なビットコイン・スケーリング・ソリューションは、ビットコインマイナーが資産としてのビットコインとスマートコントラクトの両方の安全性を同時に、しかし独立して確保するインセンティブを与える方法を革新している。

マイナー、ひいてはビットコイン自体が確実に価値を獲得できるようにすることは、資産としてのビットコインだけを保護することにとどまらず、ビットコインネットワークを拡大するために不可欠だ。

資産としてのビットコインを解き放つ

歴史的に、ビットコインは主に受動的な「価値の保存手段」として機能し、DeFiのセキュリティや商取引に積極的に関与してこなかった。しかし、イーサリアム(ETH)がイーサリアムブロックチェーンのセキュリティ確保と通貨としての役割を二重に担っているように、ビットコインは基盤となるビットコインブロックチェーンを超えた、多目的な資産へと進化する可能性を秘めている。

2024年に導入されるビットコインのステーキングは、ビットコインを受動的な資産から報酬を生み出す資産へと変化させ、その有用性に大きな変化をもたらすだろう。

DeFiのエコシステムがビットコインマイナーとビットコイン保有者/ステーカーの両方と大規模に連携するようになれば、それらのエコシステムは「BTCFi(ビットコイン金融)」のための最大かつ最も安全なプラットフォームとなる。

アトミックスワップや革新的なブリッジングソリューションなどの進歩が技術的なハードルを克服するにつれて、ビットコインはDeFiプロトコルに流入するようになる。この流入は、世界最高峰で最も信頼されるブロックチェーンベースの資産であるビットコインの並外れた実用性を解き放つことになる。

ビットコインDeFiをともに構築する

ビットコインはここ数年で初めて、ブロックチェーン・イノベーションのクリエイティブな最前線をリードしている。ビットコインのベースレイヤーが恒久的に安全であることが広く認知された今、それを新たな高みへと導くソリューションを開発する時が来た。

資産としてのビットコインが決定的な自己主権資産であることを考えれば、ビットコインネットワークが自己主権分散型金融の未来の中核的な保護役を務めることは理にかなっている。

我々ビットコインコミュニティは、ビットコインネットワークとその通貨に眠っている膨大な可能性を痛感している。今こそ一歩を踏み出し、ビットコイン、DeFi、そして世界中の経済的自立の追求に力を与えるイノベーションを育みながら、この可能性を解き放つ時だ。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Will Power the Next DeFi Summer