「盗んだ仮想通貨で走り出す」10代ハッカーから押収の3千万円相当、競売へ

英警察当局は、分散型取引所イーサデルタ(EtherDelta)と大手通信会社トークトーク(TalkTalk)をハッキングした10代の少年から押収した29万4,000ドル(約3,150万円)相当以上の仮想通貨を競売にかけた。

東部地域特別ユニット(ERSOU)は、ウィルソンズ・オークションズ(Wilsons Auctions)と連携して、同ユニットにとって初とされる仮想通貨の競売において、ビットコイン、リップル、イーサリアムを含むデジタル資産を売りに出した。

「デジタルの世界における資産回復は進化しました。そのため、民間のパートナーと連携して、仮想通貨の保管と販売に明確なプロセスを持つことが非常に重要です」と、主任警部のマーティン・ピーターズ(Martin Peters)氏は声明で述べた。

声明によれば警察は、「資産が犯罪に再び利用されることがないようにするために」入札者を吟味する目的で資産管理と現金化専門の請負業者を雇った。

2015年のトークトークのハッキング事件での判決によるコンピュータの定期チェック後、警察は2018年、当時19歳のエリオット・ガントン(Elliot Gunton)氏から資産を押収した。

捜査の過程で、ガントン氏がイーサデルタの顧客の盗まれた個人情報を大量に所持していることが明らかとなった。ガントン被告はこれらの情報を、仮想通貨での支払いで3000ドル(約32万5000円)でオンラインで販売していた。当時、ガントン氏の違法に所有した資産は33万7000ドル(約3650万円)の価値があった。

今回の競売は、ガントン氏がコンピュータおよび有線通信不法行為の共謀罪、加重個人情報窃盗を含む罪状を認めた後、ノリッジ刑事法院(Norwich Crown Court)において懲役20カ月の判決を言い渡された後に行われた。ガントン氏には、約50万9000ドル(約5500万円)の賠償も命じられた。

起訴状には、ガントン氏がアメリカ国籍のアンソニー・ナシャツカ(Anthony Nashatka)氏と協力して、イーサデルタにハッキングを行い、イーサデルタの「何百ものアカウントから仮想通貨を引き出した」ことが示されている。共謀においては、プラネット(Planet)とサイコ(Psycho)という偽名で両者は活動していた。

企みは2017年12月に7日間かけて実行され、いくつかのステップから構成されていた。

2017年12月13日(現地時間)、ナシャツカ被告は起訴状の中では「Z.C.」として特定されていないが、イーサデルタのCEO、ザカリー・コバーン(Zachary Coburn)氏と考えられている人物の身元が分かる情報を購入した。翌日、両者はZ.C.の携帯電話とメールアドレスを、彼らが管理するアカウントへと転送した。

こうして得た情報を利用して、ナシャツカ被告とガントン被告はイーサデルタのクラウドフレア(Cloudflare)アカウントに不正アクセスし、ウェブサイトを無効にし、プロキシサイトを開設した。イーサデルタの顧客がログインするたびに、アカウント、ウォレット、秘密鍵が2人に閲覧可能となっていた。

被害者の合計数と盗まれた資産の合計額はいまだに判明していないが、ある被害者は、約80万ドル(約8,660万円)を失ったと報じられている。

この事件への関与のために、ナシャツカ氏は最長で20年の懲役、最大で25万ドル(約2710万円)の罰金を受ける。同氏はサンフランシスコの連邦裁判所で、10月10日に出廷が予定されている。

ガントン氏の両親はすでに、押収されたビットコインウォレットから仮想通貨を移動しようとしたとして、違法財産の移動の罪を認めた。両親の判決言い渡しは、ノリッジ刑事法院で10月2日に予定されている。

翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Auction image via Shutterstock
原文:UK Police Auction Off $294,000 in Stolen Crypto From EtherDelta Hack