民主党、暗号資産支持者にアピール。業界は耳を傾けるのか?

先日、米テネシー州ナッシュビルで開催されたビットコインカンファレンスで共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が歴史的なスピーチを行った際、トランプ氏は11月の選挙に向けて暗号資産(仮想通貨)支持者からの票を確実にしたと思われた。

しかし、バイデン大統領が不出馬を決定し、カマラ・ハリス氏が民主党候補のトップに立ったことで、暗号資産コミュニティの一部は、暗号資産政策立案に関して民主党にもう一度チャンスを与えてもいいと考えているようだ。

民主党寄りの暗号資産支持者グループ「Crypto4Harris」は8月14日夜、この先の方針について議論するためのオンライン「市民集会」を開催。「ハリス陣営のために集まっている暗号資産業界のリーダー、政策専門家、暗号資産愛好家に会いに来てください」と招待状には書かれている。

確認されている講演者リストには、チャック・シューマー上院院内総務(民主党)、カーステン・ギリブランド上院議員(民主党)、アダム・シフ下院議員(民主党)、実業家のマーク・キューバン氏、トランプ大統領下の元ホワイトハウス広報部長で現在はスカイブリッジ・キャピタル(Skybridge Capital)CEOのアンソニー・スカラムッチ氏、さらにCrypto Council for Innovationのシーラ・ウォーレン(Sheila Warren)CEO、Paradigmの規制問題担当副社長のジャスティン・スローター(Justin Slaughter)氏といった著名な暗号資産ロビイストが含まれている。

カストディア銀行(Custodia Bank)のケイトリン・ロング(Caitlin Long)CEOは、自身のプロジェクトにまつわる規制上のトラブルからバイデン政権に不信感を抱く理由を多く持っているが、市民集会には開かれた心で参加すると述べた。

「私はCrypto4Harrisのイベントに参加し……穏健な民主党が法律を守る暗号資産企業に対するバイデン/ウォーレン主導の取り締まりを終わらせることを望む」と、彼女はXに投稿した。

バラットはチョークポイント2.0(バイデン政権下での暗号資産企業を銀行サービスの対象から排除しようとする取り組み)の設計者である。

カマラ・ハリスがバラット・ラマムルティのような反暗号資産主義者を政権に起用すれば、彼女の政権は反暗号資産主義になるだろう。

簡単なことだ。

非常に残念だが、明確なメッセージでもある。

カマラ・ハリスが暗号資産取り締まりを続けるという新たな証拠

彼女のアドバイザーの人選は、暗号資産に対するバイデンの敵対的な態度を維持することを示唆している。

ハリスは8月中旬の演説で経済政策アジェンダの中身を発表する予定だ。彼女は、財務省のトップであるブライアン・ネルソンをアドバイザーとして雇う一方、元政策責任者のロヒニ・コソグルなど長年の盟友も頼りにしている。また、副大統領在任中に最初の経済顧問を務めたマイク・パイル、バイデンの元経済補佐官であるブライアン・ディースとバラット・ラマムルティという3人のアウトサイダーが、バイデンとハリスの実績を基にした刷新された経済政策に磨きをかける手助けをしていると、この計画に詳しい関係者は語っている。

Crypto4Harrisに参加する。上記の情報が真実ではないこと、そして穏健な民主党が法律を守る暗号資産企業に対するバイデン/ウォーレン主導の取り締まりを終わらせることを望む。タイミングの良い偶然の一致だが、先週収録された@laurashinのポッドキャストで、32:45にバラットがしたことについて話しをした。

CoinDeskのジェシー・ハミルトン(Jesse Hamilton)記者の取材によると、ハリス氏のために組織化を図る取り組みの背後にいる人々は、ハリス氏が暗号資産セクターに対して「開かれた姿勢とこれまでの政策をリセットする意思」を示すよう促すことが目的であると述べている。

現在、元上司のトランプ氏に対抗するキャンペーンを展開しているスカラムッチ氏は、バイデン政権時代に暗号資産業界に対する明確なルールを設けることに積極的でなかったことについて、民主党は「恐ろしい過ち」を犯したと語っている。

ハリス派グループの多くは、米証券取引委員会(SEC)委員長のゲーリー・ゲンスラー氏を非難している。ゲンスラー氏は、議会で反暗号資産派の旗手であるエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州選出)の盟友である。

ハリス氏に批判的な人たちは、業界はハリス氏の言葉よりも行動にもっと注意を払うべきだと言う。彼らは、ハリス氏のチームの2人のアドバイザー、ブライアン・ディース(Brian Deese )氏とバラット・ラマムルティ(Bharat Ramamurti)氏が、バイデン大統領の国家経済会議の一員であり、「チョークポイント2.0」と呼ばれる政策の下で、暗号資産企業を銀行サービスの対象から排除しようとする取り組みを含む、反暗号資産的政策イニシアティブに関与していたことを指摘している。

しかし、ハリス氏のキャンペーンには、デイビッド・プルーフ氏(バイナンス)やジーン・スパーリング氏(リップル)など、以前に暗号資産企業と協力したことのあるアドバイザーが含まれていることに注目する人もいる。

Xで85万人以上のフォロワーを持つポッドキャスター、ブライアン・クラッセンシュタイン(Brian Krassenstein)氏は、Crypto4Harrisのメインイベントの直後に、Xで親ハリス、親暗号資産のスペース(音声ベースのコミュニケーションの場)を主催する。

私は、民主党が政策の一部として暗号資産とビットコインを受け入れる必要があると信じている。

水曜日の夜、特別ゲストと一緒に参加してください。シェア歓迎。

「個人的には、新政権が始まれば、ハリス氏は新しい人材を採用すると思う。彼女がゲンスラー委員長を雇い続けるとは思えないし、バイデン大統領と同じアドバイザーを雇い続けるとも思えない。ハリス氏は、暗号資産分野の人々の意見に耳を傾けることに対して開かれた姿勢を示していることを知っている」と、クラッセンシュタイン氏は語った。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:カマラ・ハリス米副大統領(lev radin / Shutterstock.com)
|原文:Democrats Make Pitch For Crypto Voters. Will Crypto Listen?