クシムとカイカデジタル、資本業務提携を解消──5億円超の債権問題はZEDホールディングス株式で決着

ブロックチェーン開発を手掛けるクシム(Kushim)は2月3日、カイカデジタル(CAICA DIGITAL)との資本業務提携を解消したことを発表した。2023年9月に締結された提携は、Web3ビジネスの共創やカイカコインの活用、暗号資産(仮想通貨)取引所「Zaif」の運営ノウハウ提供などを柱としていた。

提携解消の背景には、クシムの取締役であった田原弘貴氏の情報漏洩および不適切行為への関与が指摘されている。同氏は2024年11月25日付で辞任勧告を受けており、さらに株主提案を行ったことで経営陣交代の可能性が浮上。これにより債権回収が不能となるリスクが指摘され、提携関係の維持が困難と判断されたという。

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カイカデジタルも同日、これまでの経緯を詳細に開示した。同社の子会社カイカフィナンシャルホールディングス(カイカFHD)がクシムに対して有する5億2900万円の貸付金について、返済期日である2025年1月31日までの全額現金返済を求めていたことが明らかになった。

リリースによると、クシムは資金状況を理由に返済期限の延長を要請。さらに上場株式や暗号資産などによる代物弁済を提案したが、カイカFHDは流動性リスクを理由にこれを拒否した。交渉の結果、クシムはZEDホールディングスの株式による代物弁済に応じ、カイカFHDはその株式をネクスグループに譲渡することで決着した。

ZEDホールディングスの新たな親会社となるネクスグループも同日、株式取得に関するリリースを発表。同社はIoT関連事業主体の事業モデルから、デジタルコンテンツや暗号資産分野を含めたWeb3領域への転換を目指しているという。傘下に入るZaifは約40万口座、預かり資産約1300億円規模の暗号資産取引所を運営している。また、Web3分野のコンサルティングを提供するチューリンガムもネクスグループの傘下に入ることとなる。

クシムは本件が業績に与える影響について現在精査中としており、開示すべき事項が生じた場合は速やかに公表するとしている。

|文:栃山直樹
|画像:クシムリリースから