韓国の個人投資家、XRPとDOGEへの投資を拡大──貿易摩擦緩和でリスクオンが再燃
  • 韓国の個人投資家はXRPとDOGEへの投資を拡大しており、国内取引所での取引高でビットコインとイーサリアムを上回っている。
  • アルトコイン取引の急増は、米中貿易摩擦の緩和と利下げ期待が背景にある。
  • 韓国の暗号資産市場は、10億ドルのショートスクイーズと地政学的な緊張緩和の影響を受けて上昇局面を迎えている。

韓国の個人投資家がエックス・アール・ピー(XRP)とドージコイン(DOGE)に殺到しており、投機的な投資家の間でリスクオンの雰囲気が戻りつつある。

過去24時間で、現地の暗号資産(仮想通貨)取引所での両トークンの取引高はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)を上回った。

この急騰は、米中貿易摩擦の緩和や、今年後半の利下げの可能性を示唆するマクロ経済指標を受けて、暗号資産市場と株式市場でリスクオンのセンチメントが再燃している中で発生したものだと、一部のトレーダーは指摘している。

XRPとDOGEは過去1週間で15%以上上昇し、ビットコインの10%の上昇を大幅に上回った一方、ETHはほぼ40%急騰し、2021年以来最大の週間上昇率を記録した。

「リスク資産は急回復し、最も強硬な弱気派さえもチャレンジする水準に達している」と、暗号資産オプションプラットフォームのシグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は述べた。「マクロ経済の弱気派が白旗を上げるまで、価格上昇が続く『ペイントレード』が続くと考えている」。

韓国で取引高が最大の取引所アップビット(UpBit)では、XRP/ウォンとDOGE/ウォンの24時間取引高が2億5000万ドル(約362億5000万円、1ドル=145円換算)を超えた一方、ビットコインとイーサリアムの取引高は1億5000万ドル(約217億5000万円)を下回っている。

[UpBit]

このパターンは、韓国の暗号資産市場で「キムチプレミアム」時代と呼ばれた過去の熱狂的な個人投資家による取引と類似している。この時代には、地元の投資家が高ボラティリティ資産を積極的に追いかけた。

韓国の暗号資産市場は、個人投資家のセンチメントの先行指標として長年機能してきた。

この動きは、先週の価格急騰に伴い、過剰なレバレッジポジションが強制的に決済されたことで引き起こされた10億ドル(約1450億円)ものショートスクイーズに後押しされた広範な市場の上昇とも一致している。

「我々は、これが極めて一方的な市場に対する典型的なショートスクイーズだったという見解に同意する」とファン氏は付け加えた。「イーサリアムETF(上場投資信託)への流入を示す証拠はないため、これは純粋にポジション調整イベントだったと考えられる」。

韓国の熱狂は、地政学的なセンチメントの改善も反映している。米中両国の当局者は5月12日、両超大国の対応に関する数週間にわたる憶測を受けて、一部の製品の関税を145%から30%に90日間大幅に引き下げる方針を表明した。

「米中貿易協議が解決に向かい、利下げの可能性が高まる中、投資家の暗号資産に対する懸念が和らいでいる」と、BTSEのCOO、ジェフ・メイ(Jeff Mei)氏は述べた。「アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が来月、ハト派的な転換を表明すれば、ビットコインは過去最高値を突破し、アメリカ経済への融資と投資が再活性化する可能性がある」。

トレーダーは、機関投資家のETFへの流入の継続と6月のFRBの発表を注視しているが、短期的なモメンタムは、アルトコインへの投機が現在の上昇局面を牽引していることを示している。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:South Koreans Bet Big on XRP, Dogecoin as Easing Trade War Fuels Risk Taking