米規制環境の改善が暗号資産企業の活動を促進:JPモルガン
  • 米規制環境の改善を背景に、暗号資産(仮想通貨)関連企業の上場を目指す動きが加速していると、JPモルガン(JPMorgan)が指摘した。
  • JPモルガンによると、今年の暗号資産関連企業の新規株式公開(IPO)件数が、2021年の強気相場時と同程度のペースで推移している。
  • JPモルガンの報告書では、ベンチャーキャピタルの資金調達も増加傾向にあると指摘された。

米国におけるより緩和的な規制環境への期待が高まる中、株式上場を目指す暗号資産関連企業の数が増加し、ベンチャーキャピタルの資金調達も増加傾向にあると、投資銀行JPモルガンが6月11日に発表したリサーチ報告書で指摘した。

米上院での「GENIUS法」(Guiding and Establishing National Innovation for U.S. Stablecoins:米国ステーブルコインのための国家イノベーション指針および確立法)の進展は、「より明確で支援的な規制環境を期待する上で重要な要因」となっていると、ニコラオス・パニギルツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏を筆頭とするアナリストたちは述べた。

「このような米国の規制環境の展望は、IPOやVC資金調達などの暗号資産関連企業の活動に有利な環境を整える」と、JPモルガンは指摘している。

上院のGENIUS法は、時価総額が100億ドル(1兆4400億円、1ドル=144円換算)を超えるステーブルコインに対して連邦規制を義務付け、連邦規則と一致する場合には州規制の可能性も認めている。

ステーブルコインは、米ドルや金などの他の資産の価値に連動した暗号資産である。暗号資産市場において重要な役割を果たしており、国際送金にも利用されている。

JPモルガンは、今年に入ってからの暗号資産企業のIPO件数が、2021年の強気相場時のペースと一致していると指摘した。

報告書によると、リップル(Ripple)、クラーケン(Kraken)、コンセンシス(Consenys)、ブリッシュ(Bullish)を含む複数の暗号資産企業が、今年中にIPOを準備していると報じられている。

ベンチャーキャピタルの資金調達も増加傾向にあり、2023/24年の水準を年率換算で上回っていると、JPモルガンは指摘した。

IPOは、暗号資産投資家が時価総額で最大の2つの暗号資産であるビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)以外に、デジタル資産への投資を多様化する手段を提供する。これにより、ブロックチェーンインフラ、決済、カストディ、トークン化など、多様な分野の機会を活用できると、報告書は付け加えている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Cobalt S-Elinoi / Shutterstock.com
|原文:Positive U.S. Regulatory Environment More Conducive for Crypto Corporate Activity: JPMorgan