BTC、JPモルガンによる暗号資産プラットフォームの商標出願を受けて10万8000ドル突破

- ビットコインは3.1%上昇して10万8600ドルとなり、史上最高値に近づいた。一方、CoinDesk 20 Indexは4.3%上昇し、XRPとチェーンリンクが特に著しい上昇を見せた。
- JPモルガンの商標出願とパーパス(Purpose)のETFローンチに関する好材料が暗号資産(仮想通貨)の価格上昇を後押ししたが、アナリストたちは、ビットコインが依然として市場をリードしていると警告している。
- 投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)の今後の決定と、パウエルFRB議長によるインフレと雇用市場の圧力に関する発言に注目している。
暗号資産市場は6月16日、米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合が迫る中、トレーダーたちが地政学的な懸念から暗号資産関連の機関投資家の動向へと注目を移し、上昇した。
ビットコイン(BTC)は過去24時間で3.1%上昇し、現在10万8600ドルで取引されており、史上最高値をわずかに数千ドル下回る水準となっている。
上昇したのはビットコインだけではなかった。ステーブルコイン、ミームコイン、取引所コインを除く時価総額上位20の暗号資産を指数化したCoinDesk 20 Indexは同じ期間に4.3%上昇した。
エックス・アール・ピー(XRP)とチェーンリンク(LINK)がそれぞれ6~7%の上昇を記録し、他のほとんどのトークンも少なくとも3%上昇したことが要因だ。
伝統的市場では、先週にイスラエルとイランのミサイル攻撃応酬を受けて緊張感が高まった後、リスク許容度が回復している。S&P 500とナスダック指数はそれぞれ0.9%と1.4%上昇した一方、安全な避難先資産である金の価格は1.5%下落した。
暗号資産関連株も上昇した。コインベース(Coinbase)とサークル(Circle)はそれぞれ、7.7%と13%上昇して取引を終えた。
ビットコインマイニング企業では、ビットディア(Bitdeer)とハット8(Hut 8)がそれぞれ、6.9%と5.6%上昇した。注目すべきことに、下落した数少ない銘柄のひとつはストラテジー(Strategy)で、ほぼ0.2%下落した一方、競合のビットコイン財務戦略企業メタプラネットは日本の株式市場で25%上昇した。
暗号資産関連のポジティブなニュースが上昇にさらに拍車をかけた。JPモルガンは、取引、交換、支払いサービス、発行などのデジタル資産サービスを提供するプラットフォームに関する商標出願を提出した。
一方、資産運用会社のパーパス・インベストメンツ(Purpose Investments)は、アルトコインに特化したETF(上場投資信託)の勢いが拡大する中、カナダでXRP現物ETFのローンチを予定している。
アルトコインシーズンはいつ?
16日のアルトコインの優位なパフォーマンスが、一部のトレーダーにアルトシーズンが間近に迫っているとの希望を抱かせたかもしれないが、ナンセン(Nansen)のリサーチアナリスト、ニコライ・ソーンダーガード(Nicolai Søndergaard)氏は、そのような期待に冷水をかけた。
市場をリードしているのは依然としてビットコインだと主張するとソーンダーガード氏は、他のコインの強さは、最も大きな暗号資産であるビットコインのパフォーマンスに起因することが多いと説明した。
「ビットコインは主にアルトコインの起爆剤として機能してきた」とソンダーガード氏は述べ、次のように続けた。
「一部のアルトコインも好調だ。ビットコインが史上最高値を更新すれば、市場はそれを好むだろう」。
ビットコインの史上最高値への上昇から得た利益の一部は他の暗号資産に波及した可能性があり、DeFiのような一部のセクターは短期的な好パフォーマンスを見せた。
「しかし、アルトコインの上昇は長期化しておらず、全体的な状況を見れば、ほとんどのアルトコインはある程度の期間にわたって下落を続けている」と、ソンダーガード氏は指摘し、「焦点は依然として、ビットコインに集中している」と続けた。
13日の安値からのビットコインの力強い反発は、暗号資産市場にとって好材料となる可能性がある。
ビットフィネックス(Bitfinex)のアナリストは、先週のセンチメント指数「Fear and Greed Index(恐怖と貪欲指数)」が「恐怖」の領域に転落した一方、ビットコインのネットテイカー量(Net Taker Volume:ビットコインの先物契約における買い注文と売り注文の差を測定する指標)が積極的な売りを示唆したと指摘した。
「この動向と清算の急増は、過去の局地的な底値局面でよく見られた『降参型』のパターンに似ている」とアナリストは説明し、次のように続けた。
「ビットコインが10万2000ドルから10万3000ドルのゾーンを維持できれば、売り圧力が吸収され、市場が回復に向けて準備が整っていることを示唆しているかもしれない」。
FRBとパウエル議長の発言に注目
マクロ的な観点からは、米連邦準備制度理事会(FRB)の決定とジェローム・パウエルFRB議長の記者会見が注目されている。
CMEのFedWatchツールによると、FRBが今週および7月の次回会合で基準金利を据え置くとの見方が投資家の間で圧倒的であり、市場参加者は、FRBがインフレと雇用市場の圧力にどのように対応するかについての手がかりを求めてパウエル氏の発言に注目するだろう。
「金利決定ではなく、パウエル氏のトーンがボラティリティを左右するだろう」と、デジタル資産分析会社のスイスブロック(Swissblock)は16日に指摘し、「コモディティ、利回り、リスク資産全般で、急激な変動が見込まれる」と主張した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:6月16日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:BTC Tops $108K on JPMorgan Crypto Filing, XRP Rallies on ETF News