ビットコインが史上最高値に迫る中、トレーダーはショートポジションを積み増し
  • ビットコインの価格が11万ドルを超え、新たな史上最高値に迫る中、トレーダーたちは弱気な姿勢を示しており、ロング/ショート比率が大幅に低下している。
  • ショートポジションの建玉が320億ドルから350億ドルに増加していることは、弱気ポジションへの資金流入が増加していることを示しており、持続的な上昇に対する自信の欠如を反映している。
  • ビットコインはここのところ、10万ドル~11万ドルのレンジ内で推移している。RSIなどのテクニカル指標は弱気なダイバージェンスを示しており、トレーダーは短期戦略を通じてこのレンジを活かす動きが見られる。

ビットコイン(BTC)が11万ドルを上回り、11万2000ドルを超える新たな史上最高値を狙っているにもかかわらず、暗号資産(仮想通貨)トレーダーは弱気な行動を見せている。

Coinalyzeのデータによると、今週ビットコインが10万6000ドルから11万ドルへ上昇する過程で、ロング/ショート比率はロング優位の1.223からショート優位の0.858へと低下した。

注目すべきは、この場合のロング/ショート比率は、ロングまたはショートポジションを保有するアカウントの割合を分析するもので、通常は個人投資家のセンチメントを示す指標である点だ。

10万ドルを超える最近の価格上昇局面において、ロング/ショート比率は何度もマイナスに転じたものの、前回の2021年の上昇相場では、一貫してプラスを維持していた。

この期間中、建玉は320億ドル(約4兆6400億円、1ドル=145円換算)から350億ドルに増加し、ビットコインのショートポジションに多額の資金が投入されていることを示している。

しかし、この上昇期間中、資金調達率は一貫してプラスの値を維持しており、トレーダーがロングポジションにも参入していることを示している。

ビットコインのロング/ショート比率(Coinalyze)

ビットコインは5月初旬から、10万ドルから11万ドルの間の比較的狭いレンジに閉じ込められており、各サポートレベルとレジスタンスレベルが3回試されてきた。

相対力指数(RSI)などのテクニカル指標では、弱気のダイバージェンスが複数回見られ、11万ドルが試されるごとにRSIが弱まるなど、依然として弱気の兆候を示している。

最近のショートポジションの急増は、レンジ相場を活かす短期トレーダーが、10万ドルが試されるごとに、ポジションを逆転させる前にレジスタンスをショートしているためである可能性が高い。

この傾向は6月22日に顕著で、ビットコインが一時的に10万ドルを割り込んだ後反発した際、ロング/ショート比率が1.68まで急上昇した。

ショートポジションの増加には、ショートスクイーズという強気シナリオの可能性もある。これは、ビットコインが記録的高値を上回る水準で清算ポイントやストップロスを引き起こし始めると、買い圧力を誘発し、上昇が続く状況が生じた場合に起こる。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Traders Pile on Short Positions as Bitcoin Approaches All-Time High