アブダビ、HSBCとFABと協力し、債券のトークン化に参入

- アブダビ証券取引所は、中東・北アフリカ地域初となるブロックチェーンベースの債券を上場する予定である。この債券は、HSBCのデジタル資産プラットフォーム「Orion」を活用して、ファースト・アブダビ銀行(FAB)が発行するものである。
- この取り組みは、アブダビが今後数年間で大幅に成長すると予測されている現実資産のトークン化分野でリーダーシップを発揮するための戦略の一環である。
アブダビ証券取引所は7月3日、中東・北アフリカ(MENA)地域で初めてブロックチェーンベースの債券を上場する準備を進めていると発表した。この動きは、同地域におけるトークン化金融の拡大する勢いを示している。
プレスリリースによると、この債券は、ファースト・アブダビ銀行(FAB)がHSBCのデジタル資産発行プラットフォーム「Orion」を利用して発行する予定で、分散型台帳技術を使って記録・取引される。
これにより、投資家はブロックチェーン上で直接債券を購入・保有できるようになり、決済時間の短縮、カウンターパーティリスクの低減、透明性の向上などが期待される。
この債券は、ユーロクリア(Euroclear)、クリアストリーム(Clearstream)、香港のセントラル・マネーマーケット・ユニット(Central Moneymarkets Unit)を含む主要な証券決済システムを通じて、世界中の機関投資家向けに利用可能となる。
この取り組みは、債券、ファンド、不動産などの現実資産(RWA)のトークン化において重要な役割を果たそうとするアブダビのより広範な戦略の一環である。現実資産のトークン化は、大手銀行や資産運用会社から注目を集める大人気の分野となっている。
リップル(Ripple)、BCG、マッキンゼー(McKinsey)、スタンダードチャータード(Standard Chartered)による複数の報告書によると、トークン化されたRWA市場は今後数年間で数兆ドル規模に成長する可能性がある。
「このイニシアチブは、機関投資家グレードのデジタル金融商品のアクセスを拡大するだけでなく、グリーンボンド、スクーク(イスラム債券)、不動産関連商品を含むより広範なトークン化資産の基盤を築くものである」と、アブダビ証券取引所グループCEOのアブドゥラ・サレム・アルヌアイミ(Abdulla Salem Alnuaimi)氏は声明で述べ、次のように続けた。
「これは、アブダビの世界有数の金融中心地としての地位を強化するものだ」。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Kamil Rogalinski/Unsplash
|原文:Abu Dhabi Ventures Into Bond Tokenization with HSBC and FAB as RWA Momentum Accelerates