暗号資産取引所Bullish、ニューヨークでのIPOで最大6億2900万ドルの調達目指す──米CoinDeskの兄弟企業
  • ブリッシュは、ニューヨーク証券取引所での新規株式公開(IPO)で、ティッカー「BLSH」で2030万株を1株あたり28~31ドルで売却する計画だと発表。
  • この価格帯の上限で売却された場合、6億2900万ドル(約924億6000万円、1ドル147円換算)が調達され、企業価値は42億ドル(約6170億円)となる。
  • ブラックロックとアーク・インベストメント・マネジメントが管理するファンドは、IPO価格で最大2億ドル(約294億円)相当の株式購入に関心を示していると、ブリッシュは述べた。

暗号資産(仮想通貨)プラットフォーム「Bullish Exchange」の運営元であるブリッシュ(Bullish)は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)でのIPOで最大6億2900万ドル(約924億6000万円)を調達する計画だと発表した。

CoinDeskも所有する同社は、普通株2030万株を1株あたり28~31ドルの価格で売却する計画だと述べた。4日に米証券取引委員会(SEC)に提出された、修正されたF-1申請書に記載されている発行済み株式数によると、この価格帯の上限で売却された場合、同社の評価額は42億ドル(約6170億円)となる。

ブリッシュは今回の動きにより、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が暗号資産に友好的な選挙キャンペーンを経て大統領に就任して以来、公開市場に参入する多くの暗号資産企業に加わることになる。ステーブルコインのUSDコイン(USDC)の発行企業であるサークル(Circle)は6月に上場し、イスラエルのソーシャルトレーディングプラットフォームeToroも上場した。ビットゴー(BitGo)、グレイスケール(Grayscale)などの業界大手もIPOを申請しており、取引所のクラーケン(Kraken)やOKXも同様の動きを検討していると言われている。

ブラックロックとアークが関心示す

修正されたF-1申請書によると、ブラックロック(BlackRock)とアーク・インベストメント・マネジメント(ARK Investment Management)が運用するファンドは、IPO価格で最大2億ドル(約294億円)相当の株式を購入することに関心を示している。今回のIPOの引受会社は、需要に応じて304万5000株を追加購入するオプションを有している。

このロードショーは、ケイマン諸島に本社を置く同社が、SECに最初のF-1登録届出書を提出してから数週間後に行われた。ティッカー「BLSH」の使用を計画している同社は、IPOによる調達資金を一般的な事業目的と将来的な買収の可能性に充てることを目指している。

提出書類によると、ブリッシュは現物取引、デリバティブ取引、流動性サービスを提供する機関投資家向け取引プラットフォームを運営している。

利益と損失

同社は、第2四半期の純利益見通しを1億600万ドル(約155億8000万円)から1億900万ドル(約160億2000万円)と提示。2024年通期で8000万ドル(約117億6000万円)の利益を報告していたが、2025年第1四半期には3億4900万ドル(約513億円)の損失を計上した。

ブリッシュは提出書類の中で、2万4000BTC、1万2600ETH、4億1800万ドル(約614億5000万円)を超える現金とステーブルコインを含む、30億ドル(約4410億円)超の流動資産を保有していると述べた。同社によると、この総額には分散型金融プロトコルに供給された資金も含まれるが、その額は総額に「大きく影響するものではない」という。

このIPOの波は、業界が長年求めてきた有利な規制環境をトランプ政権が提供した後に起こった。これには、先月成立したGENIUS法や、前政権下で業界の主要企業に対して提起された一連の訴訟の取り下げなどが含まれる。

規制環境の改善が価格高騰を後押ししている。ビットコインは今年に入って22%超の上昇となり、11万5000ドル前後で取引されている一方、CoinDesk 20 Index(CD20)で測定される市場全体は32%上昇している。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ニューヨーク証券取引所の建物(David Vives/Unsplash)
|原文:Crypto Firm Bullish Seeks to Raise Up to $629M in New York Share Sale