- グレイスケールはアバランチ・トラストをナスダックで取引される現物ETFに転換するため、米証券取引委員会(SEC)にS-1フォームを提出した。
- このETFは現金ベースの設定と償還が可能で、コインベースが仲介と保管サービスを提供し、BNYメロンが管理業務を担当する。
- アバランチブロックチェーンのネイティブトークンであるアバランチは過去1年間で9%下落した水準にあり、昨年12月に記録した高値からは55%下落している。
グレイスケール(Grayscale)はアバランチ・トラスト(Avalanche Trust)を現物ETF(上場投資信託)へ転換する計画を進めており、22日に米証券取引委員会(SEC)にS-1登録届出書を提出した。
承認された場合、このファンドはナスダックで取引されることになり、規制された金融商品を通じて伝統的金融の投資家がアバランチ(AVAX)にアクセスしやすくなる。
今回の申請は、グレイスケールが3月に提出した最初の19b-4申請に続く、転換プロセスにおける2番目の規制上の手続きとなる。このファンドは、指定参加者(AP)によって管理され、現金による設定と償還が可能になる。コインベース(Coinbase)はアバランチのカストディ(保管)と取引執行を含むプライムブローカーサービスを提供し、BNYメロン(BNY Mellon)は管理人および名義書換代理人を務める。
グレイスケールは、アルトコインに特化した投資商品の事業拡大の一環として、2024年8月にアバランチ・トラストを立ち上げた。このファンドは現在1億5000万ドル(約218億円、1ドル145円換算)弱の資産を運用しており、1株当たりの純資産額は12.20%となっている。これは、12月に記録した高水準である27%から低下しており、暗号資産(仮想通貨)市場全体の低迷とアバランチ価格の下落の両方を反映している。
アバランチは「サブネット」と呼ばれるカスタマイズされたスケーラブルなネットワーク向けに設計された、コンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ステーク(PoS)のレイヤー1ブロックチェーンだ。サブネットがあることで、開発者はより広範なアバランチネットワークのエコシステムとの互換性を維持したまま、アプリケーション固有のチェーンを作成できる。ここ数カ月、機関投資家のアバランチネットワークへの関心が高まっている。ビザ(Visa)はこのネットワークを自社のステーブルコイン決済システムに統合した。アバランチのビザカード発行により、利用者はアバランチやUSDコイン(USDC)などのステーブルコインを直接利用できるようになる。
しかし、アバランチは市場の逆風から逃れられたわけではない。アバランチは24.25ドル(約3500円)で取引されており、過去1年間で9%下落した水準にある。昨年12月に記録した高値である54.11ドル(約7800円)からは55%下落している。
アバランチETFを進めているのはグレイスケールだけではない。ヴァンエク(VanEck)をはじめとする複数の資産運用会社も同様の申請を提出しており、投資家はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)以外の資産でもETFの投資機会を狙っていると期待している。
S-1申請が規制のハードルをクリアした場合、アバランチETFは主要暗号資産以外でスマートコントラクトのブロックチェーンを追跡するアメリカ上場の商品として初めてのものの一つとなる。これは伝統的金融がデジタル資産に資産を割り当てるやり方の変化を示唆する可能性がある。トークン固有のインフラが多様な暗号資産投資戦略の一部となるということだ。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Krzysztof Kowalik/Unsplash
|原文:Grayscale Moves to Convert Avalanche Trust Into Spot ETF


