- アメリカ政府閉鎖と日本の債券市場の低迷にもかかわらず、暗号資産は底堅く推移しており、トレーダーは世界的な流動性の低下を予想している。
- 政策当局による金融緩和への期待が高まる中、暗号資産市場はマクロ経済全般の警戒感から乖離する兆候を見せている。
- ビットコインをはじめとする暗号資産は上昇し、暗号資産の時価総額は2兆3700億ドルを超えた。
今週、アメリカ政府の閉鎖と日本国債市場のストレスが暗号資産(仮想通貨)の勢いを阻害することはなかった。トレーダーが世界的な流動性緩和を想定したポジションを取ったためだ。
10月3日に予定されているアメリカの雇用統計発表が延期される可能性があり、日本国債利回りが2008年以来の高水準に上昇する中、暗号資産市場はマクロ経済への警戒感から切り離されつつある兆候を見せている。
この状況は、政策当局が最終的に金融緩和を余儀なくされ、リスクテイクに有利な環境が整うとの見方を後押ししている。
「アメリカ政府の閉鎖とADPの雇用統計の弱さが今週の市場に影響を与えた。トレーダーは、これらの要因がアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)にさらなる景気刺激策と年末までの利下げを促す可能性があると見ている。これが株式と暗号資産を押し上げるかもしれない」と、暗号資産取引所BTSEのCOO、ジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はCoinDeskへのテレグラムのメモで述べた。
データ発表の遅れや財政見通しの不透明化を招く政府閉鎖は、中央銀行に慎重な姿勢を促す傾向がある。一方、日本での利回り上昇は政策転換を示唆しており、世界的な資金調達市場に影響が波及する可能性がある。
暗号資産市場では、こうした動きが新たな資金流入とボラティリティへの再注目を促す投機的動きにつながっている。
ビットコイン(BTC)は11万8500ドル付近で取引され、過去24時間で約3%上昇した。イーサリアム(ETH)は5.6%上昇し4380ドル、ソラナ(SOL)は7%近く上昇して223ドルに達した。ドージコイン(DOGE)は9%近く急騰して0.25ドルとなり、主要暗号資産の中での相対的な強さを示した。
エックス・アール・ピー(XRP)は今週前半に3.00ドル付近で乱高下した後、2.97ドルで落ち着いた。CoinMarketCapのデータによれば、この広範な上昇により全暗号資産の時価総額は2兆3700億ドル(約343兆6500億円、1ドル=145円換算)を超えた。
一方、ボラティリティ指標も市場の安定化傾向を裏付けている。
シグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏はメールで次のように述べた。「今四半期の主要テーマは、株式、金利、為替、さらにはビットコインに至るまで、インプライド・ボラティリティの低下だ。これは、緩和的なFRB、安定化する世界GDP、CPI数値への関税転嫁の顕著な欠如、地政学リスクや関税関連のサプライズの平坦化により、実現ボラティリティが急落したことが要因だ」
ビットコインが11万9000ドル近くで推移し、ドージコインが上昇する中、今後数週間で資金流入の勢いが持続するのか、あるいはワシントンと東京からの新たな圧力によって暗号資産のデカップリング(切り離し)への意欲が試されるかが明らかになるだろう。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:XRP, DOGE Zoom Higher as U.S. Shutdowns, Japan Bond Slowdown Charge Bitcoin Appetite


