- ビットコインとその他の暗号資産は大幅に下落したが、FRBのジェローム・パウエル議長によるややハト派の発言がリスク資産に安心感を与え、最悪水準から脱した。
- ビットファームズ、クリーンスパーク、IREN、マラソン・デジタル、テラウルフは10%以上急騰した。AIインフラが投資対象となる中で、投資家がビットコインマイナーへの買いを続けていることが背景にある。
- K33のリサーチ責任者ヴェトル・ルンデ氏は、10日のレバレッジ解消によって「建設的な状況」が生まれていると指摘した。
暗号資産（仮想通貨）市場は14日に大幅な下落となったが、米連邦準備制度理事会（FRB）の動きに由来する安心感の兆しによって、価格は最悪水準から回復した。トランプ大統領が同日遅くに行ったトゥルース・ソーシャル（Truth Social）への投稿は、同大統領には資産価格の上昇をいつでも反転させる力があることを強気派に思い起こさせた。
ビットコイン（BTC）は一晩で11万6000ドル（約1740万円、1ドル150円換算）近くまで急落した後、14日のアメリカの取引時間序盤には10万9800ドルまで下落した。その後11万2600ドルまで反発し、過去24時間では2.8%下落した水準にある。イーサリアム（ETH）は4%下落し、ビルドアンドビルド（BNB）、エックス・アール・ピー（XRP）、ドージコイン（DOGE）は同時期に4～6%下落した。CoinDesk 20 Index（CD20）は3.2%下落した。
FRBのジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長が量的引き締めサイクルの終了、つまり債券保有の縮小プロセスに近づいていると述べたことで価格が支えられた。同議長はまた、マネーマーケットにおけるいくつかの引き締めの兆候と相まって、労働市場が冷え込み、雇用リスクが上昇していると指摘した。これらの発言は今月に追加利下げが行われる可能性を示唆している。
米株価指数は急反応し、ナスダックとS&P500は序盤の下落から反転。一時的に上昇に転じた後、それぞれ0.75%安、0.15%安で取引を終えた。
トランプ大統領がトゥルース・ソーシャルの投稿で、中国が大豆の購入を拡大しなければ食用油の輸入を停止すると示唆したことを受け、取引時間終盤の数分で暗号資産と株式の両方においてこの日の反発の少なくとも一部がなくなった。
マイナー株への買いが続く
暗号資産マイニング関連株が再びデジタル資産関連株を牽引した。人工知能（AI）によるコンピューティング能力への需要急増がこうした企業に利益をもたらすだろうとの予測に投資家が引き続き賭けていることが背景にある。ビットファームズ（Bitfarms）、クリーンスパーク（Cleanspark）、IREN、マラソン・デジタル（Marathon Digital）、テラウルフ（TeraWulf）はそれぞれ14日に10%以上急騰している。
大規模なレバレッジ解消はビットコイン蓄積に有利
先週のフラッシュクラッシュからの反発は14日に勢いを失ったが、K33リサーチ（K33 Research）のリサーチ責任者であるヴェトル・ルンデ（Vetle Lunde）氏は現在の下落について、ビットコインが大幅なレバレッジ解消後に安定している前向きな状況だと捉えている。
ルンデ氏は14日のメモで、「最近のレバレッジ解消を受け、我々はビットコインに対して前向きで強気な見方に転じたが、忍耐は依然として重要だ」と述べた。同氏は、トレーダーが強制的な売りから回復する中で短期的には流動性が低い水準にとどまる可能性が高いと指摘した。一方で、過去にはこのような巻き戻しが市場の底値となることが多かったと主張した。
同氏は、「レバレッジが手荒に解消されたため、現在の水準は現物ビットコインへのエクスポージャーを増やすのに魅力だと我々は最終的に考えている」とし、「拡張政策への期待、機関投資家の高い需要、承認待ちとなっているETF（上場投資信託）の材料など支えとなる背景と相まって、現在の状況は徐々に蓄積していくのに有利だ」と指摘した。
｜翻訳・編集：林理南
｜画像：CoinDesk
｜原文：Bitcoin’s Leverage Flush Favors Accumulation, K33 Says
