- ビットコインは11月10日、午前の下落から回復し、10万6000ドル付近で推移した。XRPはETF(上場投資信託)への期待感から主要通貨をリードしたが、ジーキャッシュとモネロは高騰後の調整局面に入った。
- 米政府閉鎖の終結に向けた進展が市場心理を押し上げ、トレーダーらは政府預金口座(TGA)の取り崩しによる短期的な流動性増加に注目している。
- しかし閉鎖が長期化すれば、暗号資産(仮想通貨)市場構造法案の成立に向けた取り組みが頓挫するリスクがあると、アルカ(Arca)のリサーチ責任者は警告した。
暗号資産(仮想通貨)は11月10日、不安定なスタートを切ったものの、米政府閉鎖解消への楽観論がリスク選好を安定させたため、前夜の上昇分をおおむね維持した。
週末終盤に大幅に上昇したビットコイン(BTC)は、米株式市場開場の頃に1.5%下落したが、午後遅くには10万6000ドル付近まで反発し、日中の下落分の大半を回復した。
イーサリアム(ETH)は0.5%下落し、3600ドルをわずかに下回った一方、ソラナ(SOL)は1.1%上昇し、167ドルとなった。
その他のアルトコインでは、エックス・アール・ピー(XRP)が9%上昇し、上昇率トップとなった。これは、XRP現物ETFがまもなく、米国で取引開始される可能性への期待が高まっているためだ。
ジーキャッシュ(ZEC)とモネロ(XMR)は、ここ数週間で大幅な上昇を見せていたが、勢いを失いそれぞれ9%、11%下落した。
暗号資産関連株も先週の大幅な下落から反発した。
コインベース(Coinbase)は4.1%上昇、ロビンフッド(Robinhood) は4.8%上昇、イートロ(eToro) は9%上昇、ジェミナイ(Gemini) は5.2%上昇した。S&P500は1.6%高、ナスダックは2.2%高と、伝統的市場も反発した。
暗号資産価格の反発は、39日間に及ぶ史上最長の米政府閉鎖が終焉を迎えようとしているというトレーダーの確信が強まったことで起こった。
9日の夜、ドナルド・トランプ米大統領が関税収入による2000ドルの「配当」をほのめかす投稿を行ったことも、この楽観的なムードに拍車をかけた。
予測市場ポリマーケット(Polymarket)のオッズ(確率)によると、トレーダーは現在、11月12日〜15日の間に政府閉鎖が終結する確率を86%と予測している。
政府閉鎖は暗号資産法案を停滞させる
それでも、政府閉鎖は暗号資産にとって複雑な状況を生み出していると、デジタル資産投資会社アルカのリサーチ責任者であるデイビッド・ネイジ(David Nage)氏は指摘する。
プラス面として、政府閉鎖の終結により政府預金口座(TGA)から1500億~2000億ドル(約23兆円〜31兆円、1ドル=154円換算)が銀行準備金に解放される可能性があると、ネイジ氏は述べた。この流動性ショックは、暗号資産を含むリスク資産に歴史的に恩恵をもたらしてきた。
しかしネイジ氏は、継続する政府閉鎖がCLARITY法や上院のデジタル資産市場構造法案を含む重要な立法の取り組みを停滞させているとも警告した。
2026年の中間選挙が迫る中、政府閉鎖が長期化すれば米デジタル資産規制は当分の間棚上げされる可能性があると、ネイジ氏は説明。「包括的なデジタル資産法案が2026年まで延期され、中間選挙の政治的駆け引きで廃案となれば、業界は機関投資家の資本を呼び込み、持続的成長を達成するために必要な規制の明確性を失うだろう」と述べた。
政府閉鎖が暗号資産政策に与える影響は目立っていないが、最近のレポ市場での変動よりも潜在的に深刻だと、ネイジ氏は指摘する。
「今後3~5年のデジタル資産普及に向けた大きな流れは舞台裏で形作られている…しかし、上院銀行委員会のスタッフ室では政府閉鎖のために現在、何も行われていない」とネイジ氏は説明した。
「政府閉鎖が11月に終結すれば、流動性供給と立法機会の両面で恩恵を受ける可能性がある」と、ネイジ氏は述べ、「12月まで長引けば、立法のタイミングを逃す恐れがある」と続けた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:CoinDesk
|原文:Bitcoin Holds Above $105K as Traders Eye Shutdown Deal, Liquidity Boost


