- ビットコインは12月2日、9万ドルを突破し、11月30日夜から1日未明にかけて8万4000ドルを下回った急落からほぼ回復した。
- 投資心理を後押ししたのは、バンガード(Vanguard)が膨大な顧客基盤に暗号資産(仮想通貨)ETF(上場投資信託)の提供を開始した動きと、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)が自行の資産運用担当者に、ビットコインへの最大4%の配分を提案するのを許可したことだ。
- あるアナリストは、8万~8万5000ドル圏に支持線を見出した一方、別のアナリストは日本国債利回り上昇に伴う潜在的リスクを警告した。
ビットコイン(BTC)は米国時間12月2日午前、9万ドル台を回復し、11月30日から1日にかけて8万4000ドル台まで急落した値下がり分の大半を埋め戻した。
ビットコインは当記事執筆時点で、9万1180ドルで取引されており、過去24時間では8%上昇。これを受けて、デジタル資産市場全体も押し上げられた。
イーサリアム(ETH)は3000ドル台まで反発し、同期間で9%上昇。大規模アルトコインも上昇に追随し、エックス・アール・ピー(XRP)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)は7~10%上昇し、直近の安値から回復した。
この上昇は、11兆ドル(約1700億円、1ドル=156円換算)規模の資産運用大手バンガードが、長年続けてきた暗号資産禁止令を解除し、顧客がデジタル資産ETFにアクセスできるようにする方針を示したことに伴うものだ。
バンク・オブ・アメリカも自行の資産運用担当者が、ビットコイン現物ETFへの1~4%の配分を推奨することをを許可した。
日本の利回りショック、ビットコインに深刻な打撃を与える可能性
ビットコイン投資顧問会社リスク・ディメンションズ(Risk Dimensions)の創設者兼チーフ・マクロストラテジストであり、クレディ・スイス(Credit Suisse)の元グローバル・リスクアドバイザリー責任者であるマーク・コナーズ(Mark Connors)氏は、日本の10年物国債利回りの上昇がグローバル市場から資本を引き離す可能性があると警告する。
特に暗号資産、とりわけビットコインは、アジアの資本流動との近接性とレバレッジへのエクスポージャーから最も深刻な打撃を受けるだろう。暗号資産取引高の約半数を扱い、最大50倍のレバレッジを許可するバイナンス(Binance)は、特に円と人民元の変動から影響を受けやすい。
コナーズ氏はまた、ビットコインがS&P500の下落を先導しているように見えると指摘。このパターンは、今月下旬に米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行が政策会合を開くまで続くと見られる。市場がさらに弱含めば、近年ストレス期に頻繁に見られたように、何らかの介入が行われると予想している。
とはいえ、弱気材料ばかりではない。ウィンターミュート(Wintermute)のデスクストラテジスト、ジャスパー・デ・マーレ(Jasper De Maere)氏は、ビットコインデリバティブ商品が「明らかな強気志向とボラティリティ低下に賭ける(ショート・ボラ)傾向」を示していると指摘。トレーダーは8万~8万5000ドル付近でプットオプションを売りながら、より長期の上昇オプションを選別的に買い増しているという。
デ・マーレ氏は「この組み合わせは、市場が8万~8万5000ドルを支持線と見なし、年末までロングポジションを維持しつつキャリー収益を得ることに抵抗がないことを示唆している」と述べた。つまり、短期的な圧力はあるものの、トレーダーは回復を見据えたポジションを取っているようだ。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:12月2日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Surges Back Above $91K as Support Builds in $80K-$85K Area


