- ビットコインとイーサリアムは、アジア株の上昇と世界的な金融緩和を背景に、主要なテクニカル指標を上回って急騰した。
- 日本の30年ぶりの高水準への利上げは市場にスムーズに吸収され、アジア株は上昇し、円は下落した。
- アメリカのインフレ指標が軟調だったことでリスク選好が高まり、FRBによる利下げの可能性への期待が高まった。
ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は12月19日に主要なテクニカル的水準を上回った。日本銀行が30年ぶりの高水準に金利を引き上げた後、アジア株が上昇し、アメリカのインフレデータの鈍化がリスク資産への需要を回復させたためだ。
ビットコインはアジア取引時間に8万7000ドルを上回り、イーサリアムも広範な市場の強さに伴い上昇した。投資家が長らく示唆されていた日銀の政策金利の引き上げに目を向けず、世界的な金融緩和に注目したためだ。
カルダノ(ADA)、ソラナ(SOL)、ドージコイン(DOGE)、バイナンスコイン(BNB)、エックス・アール・ピー(XRP)は最大3%上昇し、CoinDesk20指数(CD20)は2%上昇した。
この上昇は、変動はあったものの比較的狭い範囲で推移したセッションの後で起きた。Coinglassによると、24時間で5億7600万ドル(約892億8000万円、1ドル=155円換算)以上の暗号資産が清算され、その大半はロングポジションに集中していた。
こうした清算の流れは、最近の反発局面でポジションの過密化がいかに深刻化していたかを示しており、小幅な利益獲得を目的としたとはいえ、高レバレッジの活用が依然として主流となっている。
日本銀行が政策金利を引き上げた後、日本の10年物国債利回りは2006年以来初めて、一時2%に達した。植田和男総裁による数週間にわたるタカ派的なシグナルを受けて、この利上げは広く予想されていた。
この決定は市場を動揺させるどころか、円安とアジア株の上昇を伴い、スムーズに吸収された。
MSCIアジア太平洋指数はテクノロジー株を中心に0.7%上昇し、米国株の先物は前夜の反発を継続した。S&P500種は0.8%上昇、ナスダック100は1.5%急騰した。マイクロン・テクノロジーの堅調な業績見通しがAI(人工知能)支出への懸念を和らげ、高い評価額の株価をさらに押し上げた。
リスク選好は、アメリカのインフレ指標の軟調さによってさらに支えられた。これにより、アメリカ連邦準備理事会(FRB)が今後数カ月で利下げを開始する可能性への期待が再燃した。
一方、オンチェーンデータは一部で圧力が緩和されつつあることを示唆している。
K33リサーチ(K33 Research)によると、ビットコインの長期保有者は、過去2年間で供給量の約20%が市場に戻ったことを受け、長きにわたる売却フェーズをほぼ終えつつある。
それでもトレーダーは慎重な姿勢を崩さない。最近の反発は確信というよりマクロ要因の緩和に支えられており、年末に向けて流動性が低下してレバレッジが高まる中、暗号資産は急激な値動きに脆弱な状態が続く。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Crypto breaks higher as BOJ decision clears a macro overhang
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