ウェブサイトに「暗号資産取引所」機能を追加──ワードプレス用プラグインが登場

暗号資産取引の民主化をアピールするワードプレス(WordPress)のプラグインが登場した。

4月22日、カリフォルニア州サンタモニカに拠点を置くブロックチェーンスタートアップのドレーパー・ゴレン・ホルム(Draper Goren Holm)は、人気のウェブサイト構築ツール「ワードプレス(WordPress)」用のプラグイン「Cryptocurrency Exchange(暗号資産取引所)」を発表。誰でも「数分で」取引機能をウェブサイトに追加したり、独自ブランドの暗号資産(仮想通貨)取引所を作ることができると述べた。

同社は、プラグインはブロガー、コンテンツクリエーター、メディア企業、起業家など、すべてのウェブサイト・オーナーが利用できるという。

夢はボーダーレスな世界

2019年にゴレン・ホルムのパートナーとなったティム・ドレーパー(Tim Draper)氏は、このプラグインによって「我々は、真にボーダーレスな世界という夢に一歩近づける」と語った。同社の創業パートナーであり、プラグインの作者であるアロン・ゴレン(Alon Goren)氏は、ウェブサイトの35%はワードプレス(WordPress)を使って作られていると述べた。

定番とも言えるワードプレスで使えるプラグインを発表することで、誰もが独自の暗号資産取引所を手にすることができるようになるとゴレン氏は語った。

プラグインはある程度カスタマイズ可能だが、それ自体は暗号資産取引所ではない。暗号資産スワッププラットフォームであるトートル(Totle)のAPIを使い、プラグインは、分散型取引プラットフォームに注文を転送する。

デジタル資産を保有するための機能は持たないが、メタマスク(MetaMask)、ブレーブ(Brave)、コインベース・ウォレット(Coinbase Wallet)といった既存のウォレットプラグインと互換性を持っている。

セキュリティ面の課題はあるか?

これは、取引所機能が取引所に対する古典的なハッキングに対する脆弱性を持たないことを意味するのかもしれない。プレスリリースでは、プラグインのセキュリティー機能についてあまり触れていない。

広く使われているワードプレスだが、セキュリティ面の課題を指摘する専門家もいる。

セキュリティー専門企業WPホワイト・セキュリティ(WP White Security)は、2013年にワードプレスで作られたウェブサイトのうちの70%は、不十分なパスワードや古いファイアーウォールが原因で、攻撃に対する脆弱性を持っていると述べた。

我々はドレーパー・ゴレン・ホルムに詳細を求めたが、記事公開時点で返答はまだない。

トートルのAPIは、ダイ(DAI)やバット(BAT)などの人気の高いERC-20トークンやイーサリアム(ETH)向けに、「集約された取引所機能を統合する」方法を開発者に提供すると説明されている。暗号資産のスワップ取引、支払いの送信、資産ペアの価格データの取得、取引所への問い合せなどが可能だ。

「トートルは常に、分散型取引所をよりアクセスしやすく、使いやすくすることに重点を置いてきた」とトートルの創業者兼CEOデイビッド・ブレズナック(David Bleznak)氏は語った。

「このワードプレス・プラグインは、グローバルな自由市場に力を与える、もう1つのステップだ」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Tim Draper Firm Launches ‘Crypto Exchange’ Anyone Can Plug Into WordPress