英中銀、デジタルポンドの開発で「民間テック企業と交渉することはない」【Consensus: Distributed】

イングランド銀行は一歩も妥協せず、中央銀行デジタル通貨(CBDC)を設計する際には、できること、できないことについて何を選択すべきか、テクノロジー企業に話を聞くつもりはないと語った。

米CoinDeskのバーチャルカンファレンス「Consensus: Distributed」のワークショップ「Future of Fiat(法定通貨の未来)」でイングランド銀行のシニア・フィンテックスペシャリスト、サイモン・スコアラー(Simon Scorer)氏は、仮にイングランド銀行がデジタルポンドの開発を進めることになっても、その設計方針についてテクノロジー企業と交渉することはないと強調した。

「CBDCにまつわる、いかなるテクノロジーの選択も一連の要件によって導かれるべきであり、その逆ではないことは明らか」とスコアラー氏は述べた。

「テクノロジーの選択によって設計を決めることはない。そうではなく、我々が行うことは、CBDCに必要な機能、設計の原則を決定することで、その後で最も適切なテクノロジーを選択する」

Consensus: Distributedでのスコアラー氏のプレゼンテーションは、今年初めに発表されたイングランド銀行のCBDC討議資料の再提示であり、業界関係者はすでに認識している設計方針を繰り返したものだった。

最も注目すべきは、暫定的なCBDCは官民連携で運営され、リブラ(Libra)のような民間の取り組みを排除したり、競争を妨げることはなく、デジタル通貨の基本的な側面を市民に提供するというアイデアだ。

しかし当日の議論でこれまでと大きく違ったのは、その姿勢だ。スコアラー氏は設計方針におけるイングランド銀行の立場をきわめて明確にした。つまり、妥協はしない。

同行との仕事を望むテクノロジー企業は初回の設計プレゼンテーションを完璧なものにした方がよいだろう。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Bank of England: No Compromise on Our Principles for Any Future CBDC