韓国、中銀デジタル通貨の専門家委員会を設置──開発ペースを加速:現地報道

韓国の中央銀行は、国のデジタル通貨(中央銀行デジタル通貨=CBDC)の開発を巡り、金融およびIT分野の法律専門家とフィンテック専門家1名からなる6名の専門家委員会を設置した。コリアタイムズ(Korea Times)が6月15日に報じた。

「委員会の目的はCBDCに関する法的問題を議論し、将来のCBDC発行を円滑に進めるために必要な法律の改正、制定を検討すること」と韓国銀行の関係者はコリアタイムズに語った。

韓国銀行はこれまでCBDCの検討を進めてきており、今回の動きはその取り組みが新たなフェーズに進んだ格好だ。

同行は昨年12月にCBDC研究のタスクフォースを設置した際、開発を進めるというより、むしろ他国の動向を「注視している」と述べていた。しかし、中国やアメリカ、日本などで予想よりも早く検討作業が進められている中で、韓国銀行は今年4月にそれまでの様子見姿勢を改め、CBDCの開発とテストのための22カ月間にわたるパイロットプログラムを始めた。

現行の銀行間決済システムを活用

詳細は明らかになっていないが、検討中のCBDCは、金融機関同士が資金取引を行うための決済システムを流用するようだ。こうしたシステムは韓国銀行をはじめ、他国の中央銀行も構築・運用している。

韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は12日、同行が「決済リスクを減らすため」に即時グロス決済システム(RTGS)を利用したデジタル決済システムの開発を検討していることは「注目に値する」と述べている。

「デジタルトランスフォーメーション(DX)は民間部門を超えて、中央銀行の支払い・決済システムにまで波及する可能性がある」とイ総裁は韓国銀行の設立70周年記念のスピーチで述べた。

「支払い ・決済システムの安全性と効率性に責任を持つ機関として、韓国銀行はこうした変化に積極的に対応する必要がある。現在進行中の中央銀行デジタル通貨の研究開発は計画通りに進めなければならない」

新たに設立された委員会は15日に初めての会議を開催したと見られ、少なくとも2021年5月までは会議を続ける方針だ。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:韓国銀行(TK Kurikawa / Shutterstock)
原文:S. Korea’s Central Bank Forms Legal Panel to Advise on Possible Digital Currency Launch