仮想通貨取引所バイナンスがコンプライアンス強化を加速する理由とは?

仮想通貨取引所最大手のバイナンス(Binance)は、コンプライアンスとデータセキュリティを強化するためにメディチ・ベンチャーズ(Medici Ventures)の投資先企業、アイデンティティマインド(IdentityMind)と新たに契約を結ぶ。

アイデンティティマインドは2019年3月26日(現地時間)、バイナンスのグローバルオペレーションにおける「既存のデータ保護とコンプライアンス対策を改善する」目的で、バイナンスと提携すると発表した。

発表文によると、アイデンティティマインドは、仮想通貨取引所が世界中の本人確認(KYC)およびアンチマネーロンダリング(AML)規制に準拠できるような「リアルタイム」プラットフォームを提供する。同社は、顧客講習会や取引の監視、ケースマネジメントのソリューションにおいて仮想通貨取引所の支援を行う。

アイデンティティマインドのCEO、Garrette Gafke氏はこう述べる。

「我々のリスク・コンプライアンスプラットフォームは、特許取得済みのデジタル・アイデンティティ・エンジンを活用しており、バイナンスのグローバルオペレーションの大規模な需要に応えつつも、トランザクションにおける外部からの包括的なリスク要因を高精度に評価するシステムを提供する」

この提携は、今までコインベースなど、その他上位取引所のような厳しいコンプライアンスを避けてきたバイナンスのスタンスに変化があったことを示唆するように思われる。

ブルームバーグが昨年報じた記事によると、バイナンスの本人確認手続きは「業界内で最も緩い」とされ、バイナンスの口座開設に必要な情報は、Eメールアドレスのみで、このレベルの匿名性はマネーロンダリングや市場操作を追跡するのを困難にすると伝えられた。

しかし、バイナンスはそれ以来、コンプライアンスを強化する施策を講じている。同社は昨年10月、リアルタイムで仮想通貨取引を監視し、犯罪および不正行為の防止を図るため、仮想通貨コンプライアンスおよび捜査ソフトウエアを提供するチェイナリシス(Chainalysis)との提携を発表している

また、本人確認自動化ソリューションを導入するために、トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門を前身とするリフィニティブ(Refinitiv)とも提携している

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Binance logo image via Shutterstock
原文:Binance Tightens Compliance, Turning to IdentityMind for KYC