仮想通貨でSuicaにチャージを検討。ディーカレット、価値交換プラットフォーマーを目指す

仮想通貨でSuicaにチャージを検討。ディーカレット、価値交換プラットフォーマーを目指す

Brady Dale
公開日:2019年 3月 27日 18:43
更新日:2019年 3月 29日 22:41

ディーカレットは2019年3月27日、金融庁から仮想通貨交換業者の登録を受けて以来初めて事業戦略を発表した。

ディーカレット代表の時田一広氏が事業戦略を発表

デジタル通貨の橋渡しに照準

同社社長の時田一広氏は発表会で、「デジタル通貨の中で価値が移転できることに意義がある」「仮想通貨を電子マネーに交換できるようにする」と述べ、同社の役割は「デジタルとリアルの橋渡し役」と説明。

仮想通貨だけではなく、電子マネーや企業が発行するポイント、さらには不動産や電力など特定の産業内で流通するトークンなどの「デジタル通貨」へ広げていくものとしディーカレットのサービスを位置づけた。

また、不正アクセスによる流出など、仮想通貨への不安や危険性を感じるユーザーの声に応える形で「インターネットで培ったIIJグループとしての技術力」を強調。

「機能の裏側のシステムにはIIJのFXシステムがあり、FX業者や証券会社、銀行などに提供しているシステムをベースに、約1年以上の年月をかけて100名以上の開発体制をつくって共同開発をしてきた」(時田氏)と説明し、セキュリティや信頼性の高さをアピールした。

仮想通貨をSuicaにチャージ

仮想通貨から電子マネーへのチャージについては、操作デモはなかったもののイメージのスライドを見せながら説明。「電子マネーは複数のブランドへ対応することを予定」とし、仮想通貨もビットコインやリップルなど「複数の仮想通貨を組み合わせて(電子マネーへ)チャージすることができる」「チャージの利便性は高い」とサービスの簡便性への自信を見せた。

複数の仮想通貨を組み合わせて電子マネーへチャージ可能

なお、一部報道であった「仮想通貨からのSuicaへのチャージ」については、検討中であることは認めつつも「具体的な計画というのは現時点ではない」と発言を控えた。

「“価値交換プラットフォーマー”として期待」大手各社が名を連ねる強み

同社はIIJ(インターネットイニシアティブ)が持分比率35%の筆頭株主で2018年1月10日に設立された新会社。野村ホールディングス、伊藤忠商事、東日本旅客鉄道、QTnet、ビックカメラ、ケイ・オプティコム、三井住友海上火災保険、SOMPOホールディングス、三井住友銀行、第一生命保険、三井不動産、大和証券グループ本社、三菱東京UFJ銀行、東京海上日動火災保険、伊藤忠テクノソリューションズ、日本生命保険相互会社、電通などが出資企業として名を連ねる。

出典:「ディーカレット

同社の株主の一社である野村ホールディングス執行役の尾崎哲は、事業戦略発表会の挨拶にて次のように述べた。

「金融業界はデジタル化の波が押し寄せてきている。既存の金融機関は脅威にさらされている。その一方で新たなビジネスチャンスが芽生えてきている。証券業では新たな資金調達手段としてSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)が注目され始めている。株式や債権、投資信託だけではなく、今まで取り扱いがむずかしかった不動産分野への応用、絵画の所有権を小口化することによって一般のお客様へ届きやすいようにする商品の事例も出てきている。さらに先日、金融庁より暗号資産に関わる法案が国会に提出され、レギュレーションが明確になり始めた。投資家、企業が安心して暗号資産でビジネスができる行う環境が整ってきており、野村グループとしても暗号資産について研究を進めている。デジタル通貨トークンを交換する“価値交換プラットフォーマー”として、ディーカレットが確固たる地位を確立することを期待する」

同じく株主の三菱UFJ銀行取締役の亀澤宏規氏は、「企業間のB to B決済や、IoT技術を活用したマイクロペイメントの領域にもデジタル通貨の活用が期待されることから、MUFGとして技術開発を進めています」と述べ、「IIJがインターネットの領域で培ってきた技術と実績に基づく信頼があるからこそ為し得るインフラ整備へのチャレンジでもあり、当行の進めるオープンイノベーションの方向性に合致している」とコメント。

さらに、JR東日本(東日本旅客鉄道)常務執行役員でSuicaなど電子マネーを担当する野口忍氏は、「Suicaの利便性とサービス価値の向上を図るためにも、他の決済サービスやプラットフォームとの連携が重要」と述べ、IIJグループのディーカレットに期待を寄せた。

JR東日本でSuicaなど電子マネーを担当する野口忍氏がビデオでコメントを寄せた。

ディーカレットは仮想通貨交換所サービスの口座開設を27日より受付を開始する。BTC・BCH・LTC・XRPの4種類の仮想通貨の現物取引とBCH/BTC・LTC/BTC、XRP/BTCの3種類のペア取引を4月16日から開始する予定だ。以後、6月から7月にイーサリアムの取引や証拠金取引を追加。さらに電子マネーへのチャージ機能を追加し、以後「仮想通貨でできることを提供していき、利便性を高めていくのが2019年の目標」(時田氏)と述べた。

金融庁は1月11日にマネックスグループの一員となったコインチェック、3月25日に楽天傘下の楽天ウォレットとディーカレットを仮想通貨交換業者に登録。ヤフー子会社のZコーポレーションが出資するTaoTaoが同日に仮想通貨取引所「TaoTao」の営業を5月中旬に開始すると発表するなど、2017年12月以来、新規の登録がなかった仮想通貨交換業者をめぐる動きが活発化している。

取材・文・写真:CoinDesk Japan編集部
編集:久保田大海、佐藤茂