LIFULLと米セキュリタイズ、不動産STO事業で提携

住宅・不動産情報サイトを運営するLIFULL(ライフル)が、米フィンテックのセキュリタイズと提携し、不動産事業者が不動産をデジタル証券として発行、取引できるサービスを開始する。

デジタル証券は、資産に裏付けれる証券を暗号化したトークンのこと。そのトークンをブロックチェーンを活用したプラットフォームで発行、譲渡することで資金を調達する手法をセキュリティトークン・オファリング(STO)という。

LIFULLとセキュリタイズ(Securitize)が共同で行う事業は、不動産特定事業者を対象にしたSTOを可能にするサービス。投資家はすでにクラウドファンディングなどを通じて不動産に出資することができるが、セキュリティトークンというかたちでの発行・取引が増えていけば、不動産のデジタル証券を売買できるようになる。

(LIFULLとセキュリタイズの発表文より)

LIFULLはこれまでブロックチェーンを活用した実証実験を進めてきた。一方、セキュリタイズはセキュリティトークンの発行プラットフォームを開発し、アメリカを中心にST発行の実績がある。セキュリタイズには、野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャルなどが出資している。

金融のデジタル化の一つとして注目を集めるSTOを巡っては、野村や三菱UFJ、みずほフィナンシャルグループなどがその発行プラットフォームの開発を進めている。各社は、企業が発行する社債や不動産証券などをSTで発行し、トークンを取引できる仕組みを作り上げようとしている。

また、国内の不動産投資において注目されるようになってきたのが「不動産特定共同事業法商品」と呼ばれるものだ。REITに似ており、複数の投資家からの資金を比較的小規模の不動産に投資して、賃料収入などを分配する。2017年の規制緩和で、個人投資家も投資ができるようになり、クラウドファンディングも導入されている。

【LIFULLとセキュリタイズのSTO事業のハイライト】

・不動産クラウドファンディングサイトにSTの発行・譲渡機能を追加できる
・STの投資家間の相対取引はイーサリアムパブリックブロックチェーンに記録
・トークンの発行はセキュリタイズのDSプロトコルを使って発行される
・トークンはSaaS型アプリで発行でき、複雑なシステム開発は不要

文:佐藤茂
画像:LIFULLのホームページより