温泉旅館をデジタル証券化──三井物、三菱UFJ、野村が開発

温泉旅館をデジタル証券化──三井物、三菱UFJ、野村が開発

国内有数の温泉地にある旅館をデジタル証券化して、個人が小口投資できる金融商品が登場する。

三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)、三菱UFJ信託銀行、野村證券は、温泉旅館を裏付け資産とするセキュリティトークン(デジタル証券)を開発した。個人投資家をメインに売り出す。3社が2月25日に発表した。

デジタル証券はブロックチェーン上で発行される有価証券で、セキュリティトークン(ST)と呼ばれ、不動産や動産、社債などに裏付けられる新たな投資資産として注目されている。従来の不動産の投資信託と異なり、個人投資家が単一の不動産に小口投資できることが特徴の一つだ。

セキュリティトークン(ST)は、改ざん耐性の高いブロックチェーン基盤で発行、管理されるが、今回のデジタル資産の発行には、三菱UFJ信託が開発した基盤「Progmat(プログマ)」が採用された。

Progmatが採用されるのは今回が4件目となり、Progmatにおける受託資産の総額(AUM)は100億円を突破した。三菱UFJ信託は、今後2年で1000億円のAUMを目指す。

また、三菱UFJ信託は今月、Progmat上で日本円に連動するステーブルコインを発行・管理できる機能や、STなどのデジタル資産を管理するウォレット機能を発表。多種多様なデジタル資産の発行・取引、決済、ウォレットによる管理などを一元的に可能にするプラットフォーム作りを進めている。

MDMは2020年4月に設立された企業で、三井物産が53%、LayerX社が36%の株式を保有している。ブロックチェーンを活用した不動産・インフラなどの資産を中心に資産運用を行っている。

MDMは昨年12月、同社では初となる不動産をデジタル証券化したファンドを組成。Progmatが採用され、SBI証券が個人投資家向けに販売を行った。国内のEコマース市場が拡大を続け、物流拠点の役割が強まる中、この1号案件では、神戸市にある物流センター「六甲アイランドDC」を裏づけ資産とするセキュリティトークンが設計された。

今回、温泉旅館がデジタル証券化されたが、デジタル証券には、例えば、旅館の割引チケットや、特定のサービスを受けられるトークン(ユーティリティトークン、または機能型NFTと呼ばれる)を付随することが可能だ。

デジタル証券は、個人投資家が、単一の不動産や社債、動産資産などを紐づけるセキュリティトークンを購入・保有でき、その証券に付随する優待サービス(ユーティリティトークン=UT)を受け取れる、新しい投資商品だ。デジタル証券市場の今後の拡大においては、日本の金融機関や事業会社が、いかに個人投資家を魅了する商品を企画できるかが大きなカギになりそうだ。

|取材・テキスト:佐藤茂
|トップ画像:群馬県・草津温泉の湯畑/Shutterstock.com

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