メルペイがOrigami買収、ドコモ口座問題ほか──2020年のフィンテックニュース振り返り【国内編】

年々拡大するフィンテック市場。2020年も日本国内でさまざまなフィンテック関連のニュースが飛び交った。有望ベンチャーによる資金調達、包括提携、預金の不正引き出し事件……。2020年のフィンテック関連ニュースを時系列で振り返っていこう。

1月──スマホ決済のメルペイが同業のOrigamiを買収

メルカリ <4385> 傘下でスマートフォン決済サービスを手掛けるメルペイが、同業のOrigami(オリガミ)を買収し、完全子会社化することを発表した。PayPayなどが大手企業の資金力を背景に大型キャンペーンを打ち出す中、Origamiはユーザーシェアの獲得で苦戦していた。スマホ決済サービスにおける業界再編のニュースとして、話題になった。

3月──個人価値売買のフィンテックサービス「VALU」がサービス終了

自分の価値をシェア・トレードできるフィンテックサービス「VALU(バリュー)」が3月31日にサービスを終了した。サービス内の取引を暗号資産で行うことなどで話題を集めたVALU。事業を続けるには5月施行の改正資金決済法において事業者登録が必要となり、法令遵守のためのシステム整備や人件費のコストが重荷となることが予想されることから、苦渋のサービス終了となった。

4月──三井住友FGとSBIが包括提携について正式発表

三井住友フィナンシャルグループ <8316> とSBIホールディングス <8473> は4月28日、スマホ証券と金融サービス仲介業における提携で基本合意書を締結した。LINEや楽天など異業種から金融業への参入が近年目立つ中、三井住友フィナンシャルグループはネット証券の最大手企業であるSBIホールディングスと提携することで、こうした新興勢に対抗する狙いがある。

9月──「ドコモ口座」事件で被害額は3,000万円規模に

2020年に日本のフィンテック業界で起きた最大の事件といえば「ドコモ口座事件」だろう。NTTドコモが提供する電子マネー決済サービス「ドコモ口座」などを悪用した事件で、犯行グループによって第三者の口座から不正に預金が引き出される被害が9月以降に続出した。被害額は全国で3,000万円規模に上り、セキュリティの甘さなどが問題視された。

10月──ウェルスナビの預かり資産3000億円突破、リリースから4年2ヵ月

ロボアドバイザーサービスを展開するウェルスナビは10月12日、預かり資産が3,000億円を突破したと発表した。同サービスのリリースは2016年7月であることから、4年2カ月で3,000億円まで預かり資産が膨らんだことになる。同社のロボアドバイザーは資産運用における資産配分や発注、積み立てなどをすべて自動で行ってくれることが特徴だ。なおウェルスナビは12月、東証マザーズに上場している。銘柄コードは <7342> 。

11月──GO-NET、ブロックチェーンを活用して超高速決済ネットワーク

ブロックチェーン基盤を活用した世界最速級の決済ネットワークの運用を、GO-NET(グローバルオープンネットワーク)が2021年から開始することが報じられた。大量のデータを低コストで高速処理できることが特徴であるとされ、自動販売機におけるクレジットカードのタッチ決済などでまずこの仕組みが導入されるようだ。GO-NETは三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> と米アカマイ・テクノロジーズの合弁会社だ。

12月──LINEとみずほの新銀行、予定変更し開業延期へ

LINEとみずほフィナンシャルグループ <8411> は2021年3月までに新銀行を開業する計画を発表していたが、2021年4月以降に開業時期を延期する方針であることが報じられた。新銀行の開業はLINEの銀行業への参入を意味するものだが、新型コロナウイルスの影響もあり、サービスやシステム開発に想定以上の時間を要していることが延期の原因のようだ。

新サービス続々、2021年はどのサービスがユーザーから支持を集める?

異業種からフィンテック業界への参入が一層活発化する中、従来はなかった新たな決済の仕組みも続々と誕生している。

こうした新たな仕組みは当然、残っていくものもあれば淘汰されていくのものもある。2021年、果たしてどのようなサービスがユーザーに支持されるのだろうか。

文:CoinDesk Japan編集部
編集:濱田 優
画像:Jirsak / Shutterstock.com