ビットコイン・コア開発者の「台所事情」──資金提供する米企業

ビットコイン・コア開発者の「台所事情」──資金提供する米企業

暗号資産に関連する技術特許を保有する米マラソン・パテント・グループは1月、ビットコインのコア開発者であるヨナス・シュネリ(Jonas Schnelli)氏に助成金を支払うと発表した。助成金は年間96,000ドル(約1000万円)相当で、ビットコインで支払われる。

暗号資産のマイニング用の集積回路チップを製造するビットメイン(Bitmain)がシュネリ氏に資金提供を行ってきたが、同社がこれを取り止めたため、マラソン・パテントが助成金の支払いに手をあげた。

マラソン・パテントのメリック・オカモトCEOによると、ビットメインは、シュネリ氏をはじめとする開発者に対する資金提供をすべてキャンセルした結果、ジョナス氏がマラソンに対して助成金を求めてきたという。

「コミュニティが互いに支えあっているのは素晴らしいこと。(スポンサーがいなくなったと)ツイートを一つ送ったら、物事はとても速く動いた」とシュネリ氏はCoinDeskの取材でコメントした。

オカモト氏はプレスリリースで、「ビットコインネットワークを前進させるために我々の役割を果たすことが不可欠であると信じている。ジョナス氏のようなコア開発者がいないことは、ビットコインの有効性と長期的な普及、ひいては我々のビジネスに影響を及ぼす可能性がある。この助成金によってジョナス氏は共同体のために重要な仕事を続けることができる」とコメントした。

ビットコインの開発エコシステム

ビットコインのような企業も中央組織も支援していないオープンソースプロジェクトにとって資金調達は重要だ。ビットコインに関連する企業が利益の一部を開発者コミュニティに還元する草の根的な取り組みが、ビットコインコミュニティには存在する。

シュネリ氏は2013年から「ビットコイン・コア(ビットコインのコア開発)」に貢献している。ビットコイン・コアコードにおいて同氏は9番目に活発な開発者だ。ビットコインのソースコードに関する作業に加えて、Cコーディング言語でビットコインアプリケーションを作成するためのコードライブラリを作成し、ビットボックス(BitBox)ハードウェアウォレットの設計を支援した。

マラソンが提供する助成金に加えて、シュネリ氏にはギットハブ(GitHub)で55の個人スポンサーがいる。

シュネリ氏は、新たな資金をメンテナンスとユーザビリティを中心としたビットコイン・コアの作業に充当する。具体的には、ビットコインノード間の暗号化されたピアツーピアメッセージングのためのビットコイン改善提案324(Bitcoin Improvement Proposal 324)の実用版を完成させ、「ビットコイン・コアのための簡易決済検証(Simplified Payment Verification Mode: SPV) の提案」とビットコイン・コア CIスクリプトの作業を進めている。

資金提供する米企業

もう一人のビットコイン開発者であるジョアン・バルボサ(João Barbosa)氏は、シュネリ氏と同時にビットメインからの資金提供を取り消されたが、バルボサ氏はコインベース(Coinbase)の最初の仮想通貨コミュニティ基金(Crypto Community Fund)の助成金の一部を受け取っている。

シュネリ氏とバルボサ氏の立場は珍しいことではない。

昨年までは、ビットコインのほぼすべてのオープンソース開発者が、ビットコインソフトウェアとプロトコルに取り組む時間を自発的に提供していた。他の開発者は幸運にも、ブロックストリーム(Blockstream)やチェーンコード・ラボ(Chaincode Labs)のような資本力のある企業に雇用されたが、ほとんどの開発者は仕事に対する報酬を受け取っていなかった。

現在、マラソン、コインベース、BitMEX、クラーケン(Kraken)、オーケーコイン(OKCoin)、スクエア・クリプト(Square Crypto)、ジェミニ(Gemini)、人権財団(Human Rights Foundation)などに、多数のオープンソースプロトコル開発者やソフトウェア設計者が雇用されている。

|翻訳:新井朝子
|編集:佐藤茂
|イメージ画像:Shutterstock
|原文:Longtime Bitcoin Developer Jonas Schnelli Receives Open Source Grant

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