上場ペーパーカンパニーによるアルトコイン購入増加に懐疑的な見方:フィナンシャル・タイムズ
  • 多くの上場企業が、自社の株価上昇を狙ってアルトコインを買い集めようとしている可能性がある。
  • 多くの企業がビットコインのトレジャリー戦略を模倣しており、ここ数カ月ではイーサリアムにおいても同様の戦略をとる企業が複数出てきている。
  • しかし、このモデルが他のアルトコインにも適用される可能性については、懐疑的な見方が出ている。

多くの上場企業が、自社株の上昇を狙ってアルトコインを買い集めようとしている可能性がある。

こうした企業は、マイケル・セイラー(Michael Saylor)氏のストラテジー(Strategy)が構築したモデルを模倣しようとしている。ストラテジーは現在、将来的に存在することになる全ビットコイン(BTC)の2.9%を保有している。同社は2020年にビットコインのトレジャリー(財務)戦略を開始して以来、株価が3000%以上上昇した。

ビットコインのトレジャリー戦略は多くの企業に模倣されており、ここ数カ月ではイーサリアム(ETH)で同様の戦略を行う企業が複数出てきている。

しかし、このモデルが他のアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産の総称)に適用される可能性については一部のコメンテーターから懐疑的な見方が出ているとフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が25日に報じた。

ブロックチェーンプラットフォームであるアバランチ(Avalanche)は、ネイティブトークンのアバランチ(AVAX)の一部を上場ペーパーカンパニーに売却する可能性を検討している。フィナンシャル・タイムズが関係者の話として報じた。そのペーパーカンパニーは、利回りを得て投資家基盤を獲得するためにそれを使用するという。

カナダの投資グループであるRSVキャピタル(RSV Capital)は、トンコイン(TON)購入のために用意されるペーパーカンパニーを使用し、2億ドル(約290億円、1ドル145円換算)の資本の調達を目指しているとフィナンシャル・タイムズは報じた。 

この手法は、実際に試されたケースでは短期的な利益をもたらしたようだ。ライトコイン(Litecoin)の共同創業者であるチャーリー・リー(Charlie Lee)氏は、7月18日にMEIファーマ(MEI Pharma)がライトコイン(LTC)を購入するために同社に1億ドル(約145億円)の投資を行った。MEIファーマの株価は発表後17%上昇したが、その後下落し、本記事執筆時点では直近1週間で約4.9%上昇した水準にある。

しかし、ナティクシスCIB(Natixis CIB)のテクノロジー・データ調査スペシャリストであるエリック・ベノワ(Eric Benoit)氏は、こうした事業計画は長期的な利益をもたらさないと述べ、「極めて投機的」だと表現した。

ベノワ氏は、「それでは、企業が長期間にわたって救われることはないだろう」とし、「結局のところ、バランスシートに保有している暗号資産(仮想通貨)の価値がその企業の価値になる。それだけだ」と述べた。

スタンダードチャータード(Standard Chartered)のデジタル資産グローバル責任者であるジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は、より小規模なアルトコインのトレジャリーに向かう流れは「一時的な流行」だと述べた。

ケンドリック氏はさらに、そのトークン価格が暴落した場合、企業の「株主か債券保有者のどちらかが苦しむことになる」と指摘した。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Public Shell Firms Ramping Up Altcoin Buys Draws Skepticism: FT

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