- ビットコインは9月2日に2.7％上昇した。一方、ゴールド（金）は1オンスあたり3508ドルという過去最高値まで急騰した。これはFRBの利下げの可能性を前に、異なるヘッジ戦略が浮き彫りになったことを示している。
- 市場アナリストによれば、通貨価値の下落に対するヘッジ手段としてのゴールドの役割は、インフレヘッジとしてのビットコインの進化する役割によって補完されている。
- イーサリアムはアクティブアドレス数の減少で疲弊の兆しを見せている一方、9月5日の非農業部門雇用者数報告への期待感から、ソラナがデジタル資産トークンにおける新たな焦点として浮上している。
9月2日の朝、ビットコイン（BTC）は11万ドル前後で推移した。一方でゴールド（金）は過去最高値を更新し続けた。これは暗号資産（仮想通貨）トレーダーがアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）の次の一手をヘッジしていることを示している。
主要な暗号資産は過去7日間下落を続けたが、2日に反発した。ビットコインは2.7％上昇した一方、イーサリアム（ETH）は横ばいだった。エックス・アール・ピー（XRP）、ソラナ（SOL）、ドージコイン（DOGE）などの他の主要コインは3％以上上昇し、時価総額は全体で1.8％増加した。
ゴールドとの対比は鮮明だった。ゴールドの現物価格は2日に1オンス3508ドルまで急騰し、4月の過去最高値を更新した。ゴールド価格は今年に入り30％以上上昇し、2025年の主要コモディティで最高のパフォーマンスを記録した。ビットコインの年初来上昇率16％を上回っている。
トレーダーらは、9月の利下げの可能性を示唆したアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）のジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長のジャクソンホールでのコメントが引き金だと指摘する。アメリカの雇用市場の弱体化が金融緩和の根拠を強め、投資家は実物資産に保護を求めている。
LVRGリサーチ（LVRG Research）のディレクター、ニック・ラック（Nick Luck）氏は、ゴールドとビットコインの並行しての上昇がヘッジ行動の広範な変化を示していると述べた。
「ゴールドの上昇は、通貨価値の低下や株式市場の変動に対するヘッジ手段としての構造的変化を反映している。ビットコインがインフレヘッジとして進化していることは、これらの資産が競合関係ではなく補完関係にあることを示唆している」とラック氏はCoinDeskに語った。
一方、イーサリアムは機関投資家の採用が進んでいるという広範な見方にもかかわらず、疲弊の兆候を見せている。日次取引高は7月のピークから減速し、オンチェーン指標では7月下旬以降、アクティブアドレスが28％減少している。
シグナルプラス（SignalPlus）のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン（Augustine Fan）氏は、デジタル資産トークン（DAT）内での資金移動により主要通貨が脇役と化していると指摘した。
「DAT全体のプレミアムは低水準へ後退し、新規流入も頭打ちとなった。資金移動はソラナを新たな目的地として進行中だ」とファンは述べた。ソラナのTVL（総預かり資産）回復が市場全体の弱気相場から切り離す要因となったと彼は指摘した。
注目は5日の非農業部門雇用統計（NFP）に移っている。エコノミストは新規雇用約4万5000人、民間雇用は約6万人、失業率は4.3%に小幅上昇と予想している。
弱い結果が出れば9月の利下げが確実視され、リスク選好が回復する可能性がある。しかし、その確証が得られるまでは、暗号資産市場は重く推移しており、オプション市場では数週間で最高水準の下落保護が構築されている。
トレーダーにとって、状況は明白だ。ゴールドの上昇が示す物語と、ビットコインの失速が示す物語は別のものだ。
今後、数営業日で、歴史的に暗号通貨にとって年間で最も弱い月である9月に、どの資産が市場の雰囲気を定義するかが明らかになるだろう。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Kurhan/Shutterstock
｜原文：Bitcoin Floats Around $110K as Traders Look Towards Friday Data for Upside
