金融機関は不要になるのか、NFTはバブルか──FIN/SUM2021が開幕

金融機関は不要になるのか、NFTはバブルか──FIN/SUM2021が開幕

日本経済新聞と金融庁が共催する「FIN/SUM2021:Fintech Summit」が16日に開催された。平井卓也・デジタル改革担当大臣の基調講演から始まり、SBIホールディングスの北尾吉孝社長や、三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取、NEMグループデイビッド・ショーCEOらが、金融の近未来を語った。

また、暗号資産(仮想通貨)取引所業界からはHuobi Japan社長の陳海騰氏が同イベントに参加する一方、デジタル証券の発行・流通プラットフォームを開発するBOOSTRY の佐々木俊典CEOも議論に加わった。

法曹界からは、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー・弁護士の河合健氏が参画。金融庁・国際政策管理官の三輪純平氏もパネルディスカッションに参加し、議論を進めた。

16日のディスカッションのキーポイントをまとめた。


デジタル庁500人体制、銀行が要らない

16日に基調講演を行った平井卓也・デジタル改革担当大臣

平井大臣は16日の基調講演で、デジタル庁は今年9月に500人体制でスタートすると述べた上で、「民間の協力なくして、デジタル庁は推進力を得られない」と強調した。

SBIの北尾社長は、DeFi(ディファイ:Decentralized Finance)の台頭によって非中央集権型の金融サービスが実現し、「金融機関が要らない世界になる」可能性を示唆した。

北尾氏は、大阪・関西万博でデジタル通貨を活用し、大阪・神戸で新次元の国際金融センターを作る構想があると述べた。海外では複数の都市に金融センターがあることに触れ、「日本の金融センターも1つである必要はない。東京と大阪で競争するのではなく、ともに発展していきたい」と展望を語った。

ビットコイン値上がりが意味するもの

単独公演の後、暗号資産ビジネスの可能性と未来をテーマにパネルディスカッションが行われた。

かつては2万ドルで「ビットコイン・バブル」と言われたが、ビットコインは今年に入り6万ドルに達した。2017年の価格上昇は個人投資家の買いが主導したが、今回の強気相場は機関投資家や大手企業の投資意欲が主導していると言われる。

BOOSTRYの佐々木氏は、仮想通貨から暗号資産と呼び方が変わったように、通貨から資産へと認識が移り変わっているとコメント。有価証券以外にも、ありとあらゆる権利が暗号資産となって流通する未来の到来を予測した。

ネット証券を利用するユーザーの数が増え、投資のチャネルがインターネットに移ってきている。個人における投資活動は、さらにネット化していくだろう。ブロックチェーンを活用すれば、発行体(企業)が金融機関を介さずに投資家から資金を調達することが可能になる。佐々木氏は、このような動きがBtoC企業から順に広がっていくと予測した。

NFTはバブルか?

河合弁護士は、アート作品などと結び付けて「唯一であること」を証明するNFT(ノンファンジブル・トークン=Non-Fungible Token)のニーズが増加していると語った。一方で、NFTはバブルの様相を呈しているとみる。

トークン自体が価値を持つビットコインのような暗号資産とは異なり、NFTはあくまでトークン外のアート作品などと結び付けた上で価値を持つ。そのため、権利関係の「結び付き」が強固であるかどうかが重要だと述べた。

NFTという名称で出回っていても、裏付けとなる資産との結び付きは定かではない。規制が整備される前だからこそ、見極めには注意が必要だとコメントした。

Huobi Japanの陳氏は、日本はゲーム・漫画などの作品が多く、世界でも有数のコンテンツ大国だからこそ、今後のNFT市場には大きなチャンスがあると話した。

暗号資産規制で課題は山積み

金融庁の三輪氏は、規制当局の目的は金融システムの安定や利用者・投資家保護だと述べた上で、ステークホルダーと状況をシェアし合うメカニズムが必要だと強調。現実的な側面では、決済性に着目して規制するのか、証券規制に近い形を選ぶのか、海外当局との連携も含めて課題が山積みだと語った。

佐々木氏は、暗号資産は決済以外にも活用できることがネックとなり、逆に決済手段になる機会を逃したとみる。今後は、デジタル資産としての暗号資産と、ブロックチェーンの技術的側面を切り分けて考え、各産業においてどのように適用するかが重要だと語った。

陳氏は、タイムリーにコストを抑えて送金する技術によって、災害時に世界中から寄付が集まるなど、これまでの常識が覆されるできごとが起きていると言及。インターネット同様、暗号資産やブロックチェーンは生活において欠かせない存在として社会インフラになっていくと述べた。

三輪氏は、保管や管理にまつわる課題が解決すれば、暗号資産の個人利用は爆発的に増えると予測する。分散性、スケーラビリティ、安全性の3つをどう成り立たせていくかが重要で、これを実現できれば、ビジネスとして一気に拡大するはずだと語った。


FIN/SUM2021は3月18日までの3日間にわたって開催される。17日は、世界中で研究開発が進んでいる中央銀行デジタル通貨(CBDC)や、そのデジタル通貨が銀行業界に与える影響などが議論のテーマだ。

|取材・文・写真:木崎涼
|編集:佐藤茂
|トップ画像:FIN/SUMに参加したSBI・北尾吉孝社長

おすすめ記事: