米SEC委員長、暗号資産取引所の規制強化を提言

米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー委員長は5月6日、2兆ドル規模の暗号資産市場では、(暗号資産)取引所に対する規制も含め、アメリカでの投資家保護の強化が必要だと発言した。

SECのトップに就任して以来初めてとなる公開公聴会の場でゲンスラー委員長は、SECの権限は証券と、暗号資産に投資する可能性のある商品とアセットマネージャーに限定されていると述べた。特に取引所にまつわる規制上の明確さを高める上で、議会が役割を果たすことができる可能性があると示唆した。

「現在、SECや姉妹機関である商品先物取引委員会(CFTC)は、暗号資産取引所に関する規制上の枠組みを持たない」とゲンスラー委員長は指摘。「現状では、暗号資産取引所に対して市場を規制する当局は存在せず、そのために詐欺や操作から投資家を保護する仕組みも存在しない」

ゲンスラー委員長は、暗号資産取引所に対する規制がどのようなものになり得るのか、具体的に語ることはなかった。

委員長のコメントは、共和党のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)下院議員(ノースカロライナ州)からのデジタル資産に関する質問への回答の中でなされたものであり、カストディに関する規制制定の提案にも触れられた。ゲンスラー委員長は、その提案が前に進むことを望むと語った。

SECとCFTCが暗号資産に対する監督を分担する方法を定める法案の発起人となったマクヘンリー議員からの質問は、ゲンスラー委員長がどのようにしてデジタル資産にまつわる規制上の明確さを高めることができるか、というものであった。

ゲームストップ株騒動

6日の公聴会は、1月のゲームストップ株の価格高騰に対する規制上の対応を検討するために、下院金融サービス委員会が開催した3度目のものであった。

ゲンスラー委員長は事前に準備された冒頭の挨拶では暗号資産には触れず、ゲームストップ株価格の吊り上げや、アルケゴス・キャピタル(Archegos Capital)の破綻といった最近の市場での出来事に焦点を当てた。

しかし、「テクノロジーによって、資本市場にアクセスしやすくなる」と述べるなど、公開株式市場におけるテクノロジーとソーシャルメディアの役割について、一般的に触れることはあった。

レディットのようなオンラインコミュニティが株価高騰に果たす役割についても言及したが、言論の自由を制限することは考えておらず、悪意のある者たちが、これらのコミュニティを利用して市場の操作をしたかどうか見極めることに興味があると述べた。

SECは今夏、ゲームストップ株騒動とそれに対する対応を評価するレポートを発表する予定であると、ゲンスラー委員長は語った。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:SEC Chair Gary Gensler Recommends Congress Regulate Crypto Exchanges