【市場動向】ビットコイン、4万ドル超え──市場心理も改善か
過去1週間のビットコインの価格推移
出典:CoinDesk

ビットコイン(BTC)の価格は14日、ポジティブなニュースが続いたことで上昇した。過去7日間で約20%値を上げ、2週間ぶりに4万ドルを超えた。

多くの指標は「ビットコインが過小評価されていることを示している」とイギリスのデジタル資産ブローカー、グローバルブロック(GlobalBlock)のアレクサンドラ・クラーク(Alexandra Clark)氏はCoinDeskに述べた。

米電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEOが13日、「マイナーがクリーンエネルギーを適正(〜50%)に使用し、将来的にプラスの傾向が確認できれば、テスラはビットコイン決済を再開する」とツイートしたことで、ビットコインの価格に勢いがついた。

「上昇トレンドを継続できるかどうかの判断が難しい局面であるが、明確なことはマスク氏は大きな影響力を持っているということだろう」(クラーク氏)

大物ヘッジファンド・マネージャー

24時間のビットコインの価格推移
出典:CoinDesk

また、市場はは、ヘッジファンド業界のパイオニアとして知られるポール・チューダー・ジョーンズ氏が14日、「インフレを意識したトレードに全力で取り組む」とCNBCに語ったことに反応した。同氏は「ビットコインを好み」、ビットコインをはじめ、ゴールド、現金、コモディティに資産の5%を割り当てたいと語った。

ビットコインへの積極的な投資で知られる米ソフトウェア企業、マイクロストラテジー(MicroStrategy)もまた、5億ドルの債券発行で、最大4億8800万ドルのビットコインを購入する準備をしていることで再び話題を集めている。同社の株価は14日に約14%上昇。年初からは約30%上昇しており、ビットコイン価格の上昇とほぼ一致している。

全体的に、ボラティリティの高かった5月を経て、市場心理はポジティブな方向にシフトしているようだ。実際、暗号資産取引会社のボイジャー・デジタル(Voyager Digital)が調査した投資家の87%は、次の四半期にビットコインなどの暗号資産の保有残高を増やすことを計画している。

しかし、資産クラスとしてのビットコインの不確実性はまだ残っており、市場心理を圧迫する可能性がある。

ゴールドマン・サックスの消費者・資産管理部門は14日、暗号資産は「実行可能な投資ではない」とするレポートを発表した。同行は顧客に暗号資産投資を推奨していない。

ビットコインオプション市場は価格下落をヘッジ

ビットコイン価格が下落することへの懸念は依然として残っており、下落のリスクヘッジ需要は続いていることが、暗号資産の「オプションスマイル 」に表れている。

オプションスマイルは、同じ日に満期を迎えるさまざまな権利行使価格のオプションに対するボラティリティをプロットしたU字型のグラフ。

U字型の「スマイル」は、ビットコインの現在の市場価格よりも低い権利行使価格のオプション需要が、高い権利行使価格の需要よりも相対的に高いことを示している。

出典 : Genesis Volatility

ビットコインの強さが改善

テクニカル指標はビットコインがイーサリアムを上回り始めていることを示しており、投資家は再び、ビットコインに注目しているようだ。

フェアリード・ストラテジーズ(Fairlead Strategies)のケイティ・ストックトン(Katie Stockton)氏によると、ビットコイン/イーサリアム(BTC/ETH)レシオは現在、50日移動平均を上回っており、ビットコインのイーサリアムに対する相対的な強さが改善していることを示している可能性があるという。

出典 : Fairlead Strategies

また、ブルームバーグは14日、ゴールドマン・サックスがイーサリアムのオプションと先物取引サービスの提供を計画していると報じた。

同報道によると、ゴールドマン・サックスのデジタル資産部門の責任者、マシュー・マクダーモット(Mathew McDermott)氏は、今後数カ月のうちにイーサリアムの取引を提供すると述べた。

同氏によると、顧客は最近の下落を良い機会と捉えており、同行はまたイーサリアムETN(上場投資証券)の取引も提供する計画だという。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:CoinDesk
|原文:Market Wrap: Bitcoin Sustains ‘Musk Jump’ as Crypto Sentiment Improves