ビットコインが急騰する度に巻き起こる議論:ビットコインに価値はあるか?

ビットコインが急騰する度に巻き起こる議論:ビットコインに価値はあるか?

ビットコイン(BTC)が20日、史上最高値を更新する中、次のようなジョークが広まった。

ジェームズ・ダイモン(JPモルガン・チェースのCEO)氏がバーに行って、マルティーニを注文する。
「お支払いはビットコイン、それとも現金で?」とバーテンダーが尋ねる。
「ビットコインについての私の意見を聞きたいのか?」とダイモン氏。「価値がないよ」
バーテンダーは答える。「知っていますけど、それでも伺いたいです」

ビットコイン価格が大幅に値上がりするたびに、最も古く、時価総額の最も高い暗号資産(最新のCoinDeskのデータでは1兆2600億ドル)であるビットコインにはそもそも価値があるのか、という議論が改めて巻き起こる。

少なくとも、ビットコインには価値がないという、ダイモン氏やその他のベビーブーム世代の人たちの主張は間違っている。

ビットコイン価格がどこに向かっているのか、「本当の」価値はどれほどなのか、それが現在の水準をはるかに下回るのか、それとも上回るのか、私には分からない。(常々言っていることだが、自分でリサーチを行い、失っても構わない以上の資産を投資に注ぎ込まないで欲しい)

私に分かっているのは、ビットコインの価値はゼロではないということだけだ。その理由を説明しよう。

耐検閲性

ビットコインは、仲介業者なしで、すばやく、トラストレスな(第三者を信頼する必要のない)取引を可能にする。政府や企業の介入なしに、人々が価値(やデータ)を取引する方法なのだ。

これに何の価値があるのか、延々と述べ続けることもできるが、私の言葉を信じなくても良い。ウィキリークスのことや、アダルト系SNSサイト「OnlyFans」の事例を考えてみれば良い。

あるいは、ロシア政府に「外国のスパイ」と呼ばれ、その広告ビジネスへの打撃を切り抜けるのにビットコインやその他の暗号資産での寄付に頼ったロシアのメディア「Meduza」の事例もある。

簡単に言えば、ビットコインは金融の検閲が忍び寄る時代において、耐検閲性を持っているのだ。

それには「何らか」の価値があるはずだ。

耐押収性

ビットコインは没収が難しい。不可能ではないが、困難だ。没収をしようとする人は、ビットコインウォレットの秘密鍵を手にする必要があるが、それには鍵の保有者の協力が必要となる。

圧政の中を生きる人々にとってのビットコインの魅力が、これで理解できるだろう。西欧においても、このような性質がメリットとなる場合がある。

例えば、被告が有罪判決を受ける前に、その全資産を検察側が一方的に凍結する(こうなると、被告は自分で選んだ弁護士に支払いをすることができなくなってしまう)のを阻止するなど。

この点について、現在はゼン・プロトコル・ディベロップメント(Zen Protocol Development)のCTOとなったネイサン・クック(Nathan Cook)氏の発言を、以前にも引用したことがあるのだが、この2015年の優れた発言よりも良いものを思いつかないので、もう1度引用させてもらう。

「ビットコインの保有者は、それ以外の移譲可能な資産の保有者が直面する問題に苦しむことはない。『私の財産権は、尊重されるのだろうか?』という問題だ。ビットコイン保有者は、社会的関係とは無関係な重要な事実のために、ビットコインを保有するのだ。世界はビットコインに背を向けるかもしれない。その価値が1セントにも満たないところまで下落するかもしれない。しかし、ビットコインを保有する人は、それでもビットコインを保有するのだ」

それ自体、「何らか」の価値がある。特に、民事資産没収が改革されるまでは。

インフレ時における希少性

ビットコインの供給量には上限があり、発行スケジュールも予測可能だ。10分ごとに6.25BTCがマイニングされ、その供給量は約4年ごとに半減し、2140年に2100万BTCに到達するまでそれが続く。

それ以降は、ソフトウェアのアルゴリズムがネットワークのコンセンサスによって変更されない限り、新しいビットコインが作られることは決してない。アルゴリズムの変更は理論的には可能だが、関係するほとんどすべての人たち(マイナー、ユーザー、開発者)の利害に反するので、 その可能性はほぼないだろう。

そのため、一部の投資家は、ビットコインをインフレに対するヘッジとして見ている。これは伝統的には、金(ゴールド)が果たしてきた役割である。

ビットコインはおそらく、ゴールドよりもさらに希少だろう。誰がいつ、地面から、あるいは小惑星からゴールドを掘り出すのか分からないのに対し、ビットコインがある時点でどれほど存在するかは、ほぼ確実に分かるからだ。

怠慢な批評家たちは、ビットコインに似た性質を持つ暗号資産は他に何千もあり、それはつまり、元祖暗号資産であるビットコインは、まったく希少ではないと主張する。こんなことをいう人は、しっかりリサーチをしていない人だ。

他に先んじた先発者として、ビットコインはネットワーク効果を味方につけている。ネットワークを安全にするために使われる演算能力を示すハッシュレートは、プルーフ・オブ・ワーク(参加者がどの記録が真正なものであるかに同意するためのメカニズム)を使う暗号資産の中ではダントツトップである。

このために、ネットワークレベルでのビットコインは、ハッキングすることが(ほぼ)不可能であり(中央集権型取引所は別問題)、最も安全なカテゴリーの中でも最も安全なコインだろう。プルーフ・オブ・ステークなどの別のコンセンサスメカニズムも存在するが、プルーフ・オブ・ワークほどしっかりと試されたものはない。

もちろん、他の暗号資産が価値を持てないと言っているのではないが、ビットコインが今日に至るまで、競合が増え続けているにも関わらず、暗号資産の中で時価総額トップを維持しているのには理由があり、それは単に知名度だけではない。

手短に言えば、ビットコインでなければ、ビットコインではないのだ。そしてその数が2100万を超えることは、ほぼ確実にないのだ。

それを、過去最高の水準を記録しているアメリカのM2マネーサプライと比べてみよう。米ドルの流通量には、アメリカの政策決定者たちによる制限以外の制約はなく、それらすべてを、最近のインフレについての見出しを考慮して検討してみるべきだ。

2008年の世界的な金融危機、そして新型コロナウイルスのパンデミックへの対策としてFRB(米連邦準備制度理事会)が取った特別な措置は、本当は「紙幣の増刷」ではなく、最近の消費者物価の高まりは、サプライチェーンにおける障害のためで、一時的だと主張する賢い人たちが存在する。

彼らは正しいのかもしれない。彼らが間違っていた場合のための保険として、ビットコインを見ることができるだろう。

それにも、「何らか」の価値があるはずだ。

結論

否定できないリスク(例えば、規制当局による取り締まり、ソフトウェアのバグ、将来的な競合など)を考慮し、これまでに述べてきた「何らか」をすべて足し合わせたら、どれくらいの価値があるのだろう。

私には分からない。しかし、ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトの素晴らしい発明品に対して、気のない褒め方をしているように見える危険を覚悟して、少なくとも1セントの価値はあると言っておこう。

当記事執筆時点では、市場は私より6万6371.41ドル高い値をつけている。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Why Bitcoin Is Worth at Least a Penny

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