ビットコインとイーサ市場の成熟度、オプション取引に見るその速さ【オピニオン】

ビットコインとイーサ市場の成熟度、オプション取引に見るその速さ【オピニオン】

アメリカのテレビの歴史で象徴的なシーンがある。ジャン・ブレイディは両親に、姉ばかりが注目を受けていると文句を言う。「マーシャ、マーシャ、マーシャって…。いつもマーシャの影で目立たないのはうんざり」と、1971年放送の『ゆかいなブレディー家』の1シーンで、ブレイディは愚痴を洩らす。

イーサ(ETH)がビットコイン(BTC)について、同じように不満を漏らすのが聞こえるようだ。

イーサは年初以来、約500%値上がりしたのに対し、ビットコインはわずか2倍。それなのに、ある国で法定通貨になったり、複数の先物ETF(上場投資信託)が登場したのはビットコインだ。

同じ暗号資産のトップティアに属しているのは確かだが、ビットコインをイーサと比べるのは、暗号資産を少しでも理解した人にとっては、りんごをオレンジと比べるようなものだ。

デリバティブ市場も、少なくともそれとなく、その違いについて同意しているようだ。スポット取引高と比較したオプション取引高におけるビットコインとイーサの違いに、それが表れている。

この点がなぜ重要かと言うと、スポット取引高と比べたオプション取引高の割合がより大きいと言うことは、成熟した市場のサインであり、価格発見に役立つ可能性があるからだ。

もちろんイーサもビットコインも、ここ1年でスポット及びオプション市場で驚くほどの成長を遂げている。

BTC(黄)とETH(黒)のスポット取引高
出典:Skew, Bitstamp、Coinbase、FTX、Gemini、ItBit、Kraken、LMAX Digital

データ提供を手がけるスキュー(Skew)によると、2020年10月、イーサのスポット取引高は、7つの主要取引所を合わせて1日に約9300万ドルだった。その1年後、1日の平均取引高は16億ドル。一方、オプションの1日の取引高は1年前のわずか2300万ドルから、3億3500万ドルへと急増した。

(当記事で分析しているビットコインとイーサのスポット取引所7つは、ビットスタンプ(Bitstamp)、コインベース(Coinbase)、FTX、ジェミニ(Gemini)、イットビット(ItBit)、クラーケン(Kraken)、LMAXデジタル(LMAX Digital)である。バイナンスなどは含まれていないが、各スポット市場の相対的サイズはつかめるだろう)

BTC(黄)とETH(黒)のオプション取引高
出典:Skew, Bitstamp、Coinbase、FTX、Gemini、ItBit、Kraken、LMAX Digital

ビットコイン市場はさらに大きかった。2020年10月の1日の平均スポット取引高は3億9500万ドルで、オプション市場は2億600万ドル。12カ月後にはそれぞれ、22億ドルと9億8900万ドルとなっていた。

それでも成長という点では、イーサの方が勝っていた。イーサのスポット市場は1年間で約16倍、オプション市場は約15倍成長した。ビットコインの方はそれぞれ、「わずかに」5.7倍、4.8倍の成長にとどまった。他の市場からすれば夢のような成長だが、イーサに比べれば大したことはない。

すべては相対的

これらの数字を見ていると、各通貨のスポット市場に対するオプション市場のサイズが目を引く。

繰り返しになるが、ここで対象としたのは一部の取引所でしかない。しかし、世界でも最大規模の取引所であり、そのデータは概して信頼できるものである。そのため、市場で何が起こっているのかを掴むのには役立つ。

2020年6月中旬から現在までを平均すると、ビットコインのオプション市場はスポット市場の45%であるの対し、イーサではわずか20%であった。だからと言って、その水準でずっと推移していたという訳ではない。

BTC(黄)とETH(黒)それぞれの、スポット取引高と比較したオプション取引高
出典:Skew, Bitstamp、Coinbase、FTX、Gemini、ItBit、Kraken、LMAX Digital

上のグラフを見てみれば、昨年6月以来ビットコインの方は30〜50%の範囲にとどまっていたことが分かる。もちろん、4月にオプション市場がスポット市場にほぼ匹敵し、4月8日にはスポット市場を超えた時期には、大きな上昇が見られる。イーサのオプション市場の方は、ここ5カ月ほど15〜25%の範囲にとどまり、より控えめな動きをしていたようだ。

より正確に言っておくと、6月以降のスポット取引高に対するオプション取引高の割合に関して、ビットコインの標準偏差は17%、イーサの方は5%であった。

暗号資産デリバティブ市場は、依然として初期段階にある。ビットコイン、イーサの双方で、オプション取引において最大のシェアを誇っている取引所はデリビットだ。同取引所の最高コマーシャル責任者ルーク・ストリジャーズ(Luuk Strijers)氏は、「まだ初期である」と語り、市場が成熟する間は成長が急速なものになると予測する。

ブローカレッジのボイジャー・デジタル(Voyager Digital)のCEO、スティーブン・エーリッヒ(Stephen Ehrlich)氏も、暗号資産オプション取引は現在、20年前の株式オプション取引の状況と同じであるが、ゆくゆくは追いつくだろうと述べる。「これらのプロダクトの獲得、取引がより容易になるに連れ、取引高も増加するだろう。ただ、それにはまだ数年かかる」

そのようにまだ成熟中の市場においては、ビットコインがお姉ちゃんだ。ここで、ブレイディ家に話を戻そう。

成長期の苦しみ

冒頭に挙げたエピソードでは、嫉妬した妹のジャンが姉のマーシャのトロフィーをクローゼットに隠す。

「マーシャは何かをするたびに、賞状やらメダルをもらってる」と、ジャンは母親に泣きつく。「学校では1日中、マーシャがどれだけ上手に何をしたとか、マーシャがどれだけ優秀だとかを聞かされるばっかり」

それに対して母親は、「ジャン、あなたは誰の影にも隠れていないわ」と次女を慰める。「マーシャはあなたより3歳年上だから、あなたより色々成果を上げていて当然だわ」

ここでポイントとなるのは、ビットコインはマーシャのようなものということだ。ビットコインはイーサよりも6年前に誕生したのだから、スポット取引高と比べたオプション取引高の割合の高さなど、イーサに勝る点が多くて当然なのだ。

その他の暗号資産も、ブレイディ家のみんなのようにそれぞれ独自の道を進んでいる。

そしてゆくゆくは、みんな成熟していくだろう。ブレイディ家の最年長は今では67歳、最年少でも60歳になるのだ。同じことが暗号資産でも起こり、オプション市場も成長することが見込めるだろう。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:What Bitcoin and Ether’s Options Tell Us About Their Maturity

おすすめ記事: