手当たり次第にブロックチェーンを使う必要はない【オピニオン】

手当たり次第にブロックチェーンを使う必要はない【オピニオン】

「ビットコイン」という言葉がメインストリームへと入り込んで以来、人々は色々なものを「ブロックチェーン上」に置くことに躍起になってきた。

暗号資産(仮想通貨)インフルエンサーや怪しげなプロダクトを売る人たちが、ブロックチェーン上の不動産、ブロックチェーン上のソーシャルメディア、ブロックチェーン上のサウンドクラウドのラップといったものを熱心に宣伝しているのだ。

ある意味では、納得の事態だ。スマートコントラクトによって、どんなコンピュータープログラムでもブロックチェーン上に置くことができるようになった今、ピカピカの新しいテクノロジーは、投資家にとっては魅力的な切り口である。しかし、私たちが現在すでに使っているテクノロジーのうちどれほどが、本当に暗号資産的要素を必要としているだろうか?

採用にブロックチェーンを?

暗号資産の行き過ぎの最新の事例は、デザインスタジオ兼投資ファンドのLate Checkoutを運営する投資家グレッグ・アイゼンバーグ(Greg Isenberg)氏によるものだ。彼はかつて、Islandsというソーシャルスタートアップを運営していたが、コワーキングスペースを手がけるWeWorkが低迷する直前の2019年夏に、同社へと売却していた。

アイゼンバーグ氏は先週、人材採用担当者が採用プロセスをブロックチェーン上で行うことを提案するツイートを投稿。数行にわたるツイートは、下手な詩のように展開する。

「仕組み:
– 求人に応募する
– ブロックチェーンをスキャンして、オンチェーンでの経歴や資質を評価する
– 一定の評価以上なら、60秒以内に採用が決定される

先入観なし、時間の無駄なし、面倒なし
採用か不採用がすばやく決定
画期的だ」

中国の社会信用システムに似ている点はさておき、このアイディアを非難するのはあまりにも簡単だ。すでにこのようなシステムが、暗号資産的要素抜きで存在し、それは機能していないからだ。

人間による判断の必要なしに、優れた志願者を選別するためのコンピュータープログラム「自動履歴書審査」は、役に立たないフレームワークとして悪名高い。

ハーバード・ビジネス・スクールが今年発表した報告書では、いわゆる志願者トラッキングシステムや採用管理システムが、最高の志願者を探すのではなく、効率性を最大化するために仕込まれていることが説明されている。報告書によれば、そのようなシステムは「極めて重要」ではあるが、「壊れた」採用市場につながる。

真の需要とは関係なく

人間を、GPA(アメリカの大学の成績評価)や共通試験のスコア、志願者が4年制大学を卒業したかどうかで「true」または「false」を返すように設定されたブーリアン型の値など、スプレッドシート上のデータに変換してしまうことには、危険が潜んでいる。

もちろんアイゼンバーグ氏は、好意的な受け手に対して、話を展開しているだけに過ぎない。ツイッターの世界における暗号資産界隈のインフルエンサーの大半は、大いに偏っているのは明らかだ。彼らは、暗号資産テクノロジーを推進することに経済的な利害を持った裕福な投資家か、さらにリッチになる方法を探している熱心な暗号資産ファンのどちらかなのだ。

それでも、このような危険なアイディアを支持し始める投資家の数が増えるほど、現実味も増してくるのだ。消費者が本当にマーク・サッカーバーグ氏の思い描くメタバースに住みたいかどうかは、関係ない。最終的にはそのような世界に行き着いてしまうかもしれない。そこにお金が集まってくるからだ。

暗号資産の世界でも、同じにならない理由があるだろうか?

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock.com
|原文:Not Everything Needs to Be ‘on the Blockchain’

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