ビットコイン低迷、アルトコインとNFTが人気集める【市場分析2021】Vol.6

2021年の暗号資産(仮想通貨)市場を振り返り、グローバル金融の中で急速に進化している市場の重要な教訓に焦点を当てるシリーズの6回目(最新価格は下部に掲載)。

2021年上半期はビットコイン(BTC)にとって荒れた展開となったが、6月までに市場は落ち着きを取り戻し始めた。ビットコインは数カ月で50%近く下落した後、3万ドル付近で横ばいとなった。トレーダーはより大きな利益を求めてアルトコインやノンファンジブル・トークン(NFT)に群がった。

アルトコインシーズン

年明け頃から投資家のリスク志向を反映して、複数のアルトコインがビットコインのパフォーマンスを上回るようになった。エックスアールピー(XRP)は1月から4月にかけて約8倍になり、アーベ(AAVE)やユニスワップ(UNI)など、多くのDeFi(分散型金融)トークンも上昇した。

市場が低迷している間にも暗号資産全体の時価総額に占めるアルトコインの割合は上昇し、いわゆるビットコインのドミナンスは低下した。特に「イーサリアム・キラー」と呼ばれる、イーサリアム(ETH)のライバル、例えば、ソラナ(SOL)などがトレーダーの注目を集めた。また7月には、イーサリアムブロックチェーンの取引の効率化を目指す「レイヤー2」ソリューションのトークンも人気となり、ポリゴン(MATIC)は2倍近く上昇した。

下図のとおり、ビットコインのドミナンス下のグラフは3月から5月にかけて大きく下落し、その後は40%前後で推移した。

ビットコインのドミナンス(CoinDesk, TradingView)

NFTブーム

7月から8月にかけて、ビットコイン価格が3万ドル付近で横ばいとなると、一部のトレーダーは他に刺激を求め始めた。

2021年の暗号資産ブームがビットコインを超えてどこまで広がるかは、クリプトアーティスト「Beeple」のNFT作品がクリスティーズのオークションで6930万ドルで落札された3月頃から明らかだった。

ニューヨーク・タイムズなどの伝統的なメディアが驚くようなニュースを伝え、NFTが秘める大きな利益は、暗号資産市場に新たな投資先を求めていた多くのアーティスト、セレブ、トレーダーを魅了した。

「@beepleの『The First 5000 Days』は、大手オークションハウスが提供した最初の純粋なNFTベースのアート作品で、6934万6250ドルで落札されました。これにより同氏は現在活躍中の最も価値あるアーティスト・トップ3となります。@beepleと@makersplacecoに感謝します。詳細は追って発表します」

「Bored Ape Yacht Club」や「CryptoPunks」が莫大な金額で取引された。8月時点、Bored Ape Yacht Club NFTのフロア価格(マーケットプレイスで最も安い価格)は48.8イーサリアム(約16万5578ドル、約1900万円)だったが、年末にはさらに上昇し、24万ドル程度(約2800万円)になっている。

NBAのスーパースター、ステフィン・カリー氏、YouTuberのローガン・ポール氏、ミュージシャンのジャーメイン・デュプリなどが高額なNFTを購入した。

Bored Apeの平均販売価格(Dune Analytics)

投機は周期的に動く。暗号資産トレーダーは2021年、完全な買いモードでスタートし、その後、規制リスクによる価格下落が利益確定を促した。投機の動きは浮き沈みがあったものの、ビットコインが相対的な優位性を失い始めたことで、トレーダーはアルトコインにチャンスを見出すことができた。

最新価格

●ビットコイン:47,735ドル、−6.8%
●イーサリアム:3,823ドル、−6.6%

●S&P500:−0.1%
●ゴールド:1,807ドル、-0.1%
●米国10年債:1.482%

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Bored Ape NFTからインスピレーションを得た作品(Adam Levine/CoinDesk)
|原文:Market Wrap Year-End Review: Altcoins, NFTs Filled Void When Bitcoin Got Boring