コインベース vs. OpenSeaの戦いが始まった──SNS化するNFTビジネス

暗号資産(仮想通貨)取引サービス大手の米コインベース(Coinbase)が4月20日、NFTのマーケットプレイス(ベータ版)をオープンさせた。待機リストに載る300万人から、まずは少数のユーザーがこのプラットフォームを利用できる。

昨年10月に発表されたNFTマーケットプレイスは、イーサリアムベースのNFT取引をサポートし、競合との差別化のためにソーシャル・メディア的な工夫が取り入れられている。

ユーザーは自分のプロフィールを紹介したり、人気SNSに似たスタイルで表示される他のアカウントをフォローすることができる。ユーザーはお互いの投稿に「いいね!」を押したり、コメントもできるとコインベースの担当者は語った。

「このプロダクトは単なる売買だけではなく、ユーザーコミュニティを構築するもの」と19日、同社プロダクト担当バイスプレジデントのサンチャン・サクセナ(Sanchan Saxena)氏は記者発表で述べた。「プラットフォーム上でつながり、エンゲージできるようになる。最初に述べたとおり、とてもソーシャルなマーケットプレイスです」

新しいマーケットプレイスは、コインベース・ウォレットの他にも「あらゆる種類のセルフカストディ・ウォレット」をサポートする計画で、「あらゆる人にオープンなNFT環境」を作ることを目指しているという。クレジットカードでの法定通貨による購入にも対応する。

スタート時、コインベースは取引手数料を取らない(イーサリアムの取引手数料などは必要)が、最終的には「1桁%台の低い手数料」を取る予定とサクセナ氏は述べた。

ソーシャル・メディア的な工夫(Coinbaseの記者発表より)

NFTの新たな方向性?

コインベースは「漸進的分散化(progressive decentralization)」と呼ぶプランを持っており、特定の機能は当初は中央集権的に管理されるが、最終的にはブロックチェーン上に移される。

1つは、ユーザーのコメントで、当面は同社サーバーに保存されるが、最終的にはブロックチェーン上に移される。もう1つは、同社がユーザーの「フォロワーグラフ」と呼んでいるもので、プラットフォームを超えた互換性を目指すものだ。

ソーシャルメディアに焦点を当てたマーケットプレイスは、現状では新しい取り組みだが、多くのプレーヤーが参入すれば、標準的なものになるかもしれない。

メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグCEOは3月、インスタグラム(Instagram)にNFTを導入する予定と述べたが、詳細はまだ明らかになっていない。

ソーシャルメディアを重視するか否かにかかわらず、イーサリアムベースのNFTに参入するマーケットプレイスは、オープンシー(OpenSea)と直接競合することになる。DappRadarの過去30日のデータによると、イーサリアムベースのNFTトレーダーの95%がオープンシーを利用している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Coinbase NFT Marketplace Goes Live. Can It Rival OpenSea?