ウォレットのLedgerが1億ユーロのWeb3ファンド──トークン市場は13兆ドル

暗号資産(仮想通貨)ウォレットを開発するレジャー(Ledger)は、米ベンチャーキャピタルのキャセイ・イノベーションと共同で1億ユーロ(約141億円)のファンドを設立した。Web3領域で事業を進めるスタートアップへの投資を加速する。

レジャーの発表によると、同ファンド「レジャー・キャセイ・キャピタル(Ledger Cathay Capital)」は、DeFiやNFT、DAO(自律分散型組織)などを専門とするスタートアップをターゲットに、シードラウンドとシリーズAラウンドにおける投資を行う。

Web3とは:ブロックチェーンを利用して新しいビジネスモデルと社会モデルを実現するというもの。ユーザー自身が、個人データやコンテンツ、アルゴリズムを管理し、プロトコルの暗号資産や他のトークンを所有することでステークホルダーとなる。

所有権がユーザーに移ることで、プラットフォーマーと呼ばれる巨大企業や政府機関など中央集権型のWeb2における「ゲートキーパー」から権力や資金が離れていくといわれている。

過去7年間における暗号資産の普及ペースは、1990年代に見られたインターネットの普及パターンに類似しており、この状況が継続すれば、暗号資産の利用者数は2027年までに10億~16億人に達すると、レジャーは予測する。

また、レジャーの予想では、世界のGDPの約10%は同年までにパブリックブロックチェーン上に保管され、その規模は13.4兆ドル(約1800兆円)にのぼるという。世界銀行のデータによると、世界のGDPは2020年時点で、約84.7兆ドル。

レジャーは発表文の中で、「今後起こり得るインターネット時代は、価値を持つあらゆるものがトークン化されることで実現する」とした上で、「お金、アート、権利、アイデンティティ……価値あるすべてのものがトークンに変換され、ブロックチェーンに記録される。そして、そのトークンは第三者機関ではなく、個人が管理できるようになる」と述べる。

|テキスト・編集:佐藤茂
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