米サークル、USDコイン準備金の詳細を公表──業界に広がる信用不安に対処

ステーブルコインのUSDコイン(USDC)を手がけるサークル・インターナショナル・ファイナンシャル(Circle Internet Financial)は7月14日、USDコインの準備金557億ドルの詳細な内訳(ただし、未監査)を公表。準備金は421億ドルが米国短期国債、136億ドルが現金だった。

同社がブログで公開した内訳によると、6月30日時点、同社は平均償還期間44日、直近の満期日9月29日の米国短期国債421億ドルを保有している。債券は償還期間が3カ月以内のものが短期とされる。内訳には債券の識別番号、いわゆる「CUSIPナンバー」も記されていた。

サークルはまた、認可を受けた金融機関に136億ドルの現金を保有している。

合計557億ドルの準備金は、USDコインの流通量554億ドルをわずかに上回っている。USDコインはステーブルコインとしては2番目の規模を誇る。

「アメリカの政策立案者がステーブルコインに対する規制の制定に取り組む一方で、サークルは新たな業界のイノベーションとUSDコイン保有者が我々のエコシステムに望むことに基づいて透明性を高め続けている」とジェレミー・フォックス-ジーン(Jeremy Fox-Geen)最高財務責任者(CFO)はブログに記した。

広がる信用不安

暗号資産市場では信用危機が広がっている。5月、当時3番目の規模を誇っていたステーブルコインのテラUSD(UST)がドルペッグ(ドル固定)を失い、数十億ドル規模のテラ(Terra)ブロックチェーンの崩壊につながったことがきっかけだ。

暗号資産企業の財務状況に対する監視の目は厳しさを増しており、レンディング企業と投資会社は流動性問題に直面し、破産申請を行った。

ステーブルコインは米ドルなどの資産に固定され、安定した価格を維持することになっているが、トロンのUSDD、ニュートリノUSD(USDN)など一部のステーブルコインはテラ崩壊の余波を受けてドル固定を失った。最大規模のステーブルコインで、流通額が660億ドルにのぼるテザー(USDT)も、一時ドルペッグを失った。

5月以降、USDコインはテザーから市場シェアを奪っている。データサイトのCoinGeckoによると、テザーは流通額が170億ドル減少、より安全と見なされたUSDコインは70億ドル増加している。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:CoinDesk
|原文:Circle’s Detailed Reserve Report Shows Only Cash, Short-Term Treasurys Back USDC Stablecoin