制裁対象のトルネード・キャッシュから匿名ユーザーが著名人にイーサリアムを送信──規制の混乱が目的か

制裁対象のトルネード・キャッシュから匿名ユーザーが著名人にイーサリアムを送信──規制の混乱が目的か

8月9日、匿名ユーザーが著名人のイーサリアムアドレスに、マネーロンダリングに使われているとされる「Tornado Cash(トルネード・キャッシュ)」から少額のイーサリアム(ETH)を送り、これから起こるであろう規制の混乱に巻き込もうとしたようだ。

Etherscanによると影響を受けたのは、コインベースのブライアン・アームストロングCEO、TV司会者のジミー・ファロン(Jimmy Fallon)氏、スポーツブランドのPUMA、ウクライナへの寄付のために作られたウォレットなど。作品のNFTが高額取引されたことで知られるアーティストのBeeple氏、人気コメディアンのデイヴ・シャペル(Dave Chappelle)にもイーサリアムが送られた。

米財務省外国資産管理局(OFAC)は8月8日、トルネードキャッシュを制裁対象に加え、アメリカ人および団体が同サービスを利用、あるいは取引することを禁じた。アメリカ人には、アメリカ国内にいる者だけでなく、海外にいるアメリカ人も含まれる。

トルネード・キャッシュは「暗号資産ミキサー」と呼ばれるもので、任意のトランザクションの由来を隠すことができる。当局は、ミキサーに流れる相当数の暗号資産が暗号資産取引所やサービスをハッキングして得た収益など、犯罪行為と結びついていると考えている。

今回の行為は、制裁対象となったアドレスから資金を受け取ったユーザーは、受け取りを拒否できないにもかかわらず、制裁の対象となることの不合理さを効果的にアピールするものだ。暗号資産のオープンな特質は、そうした取引に対して銀行や他の金融機関を関所的に利用する従来の金融セクターとは異なり、仲介者の介在をなくすよう設計されている。

トルネード・キャッシュは制裁対象となったため、アメリカ人はトルネード・キャッシュからの送信をブロックする法的義務を負う可能性が高い。OFACの規則では、アメリカ人はトルネード・キャッシュから送られる取引や資金を凍結することが義務づけられている。

オンチェーンでの着信取引をブロックすることは不可能なので、取引所などは、個別のアドレスをブロックしなければならないだろう。

これは、取引所などが運営していないパブリックウォレット(公開されたウォレット)を持つ著名人や企業にとっては簡単なことではなさそうだ。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Someone Is Trolling Celebs by Sending ETH From Tornado Cash

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