融資で購入した人気NFT「Bored Ape Yacht Club」が清算の危機に

融資(ローン)で購入した人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」数十個が、強制的に売却される危険な状態にあり、さらなる清算を引き起こすと懸念されている。

問題が起きているのは、NFTを担保にイーサリアム(ETH)を借りることができるピア・ツー・ピア(P2P)融資サービスのBendDAO。ユーザーは通常、NFTを担保に、NFTのフロア価格(市場での最低購入価格)の30~40%に相当する融資を受けることができる。

だがNFTのフロア価格はこの数カ月で急落しており、BendDAOで融資を組んだ272個のBored Apesのうち45個で、担保のNFTが売却される寸前の「危険水域」に入っている。すなわち、530万ドル(約7億1500万円)相当のBored Apesが清算の危機にさらされている。

BendDAOは、NFTコレクターに人気のサービスなので、売却されればその規模は大きくなるだろう。BendDAOからの融資で購入された272個のBored Apesは、コレクション全体の2.72%に相当する。

また、大量の清算が発生すれば、昨年から台頭してきた他のNFT融資サービスにも影響を与える可能性がある。また、Bored Apesは、高い人気を誇るNFTコレクションなので、連鎖的な清算が発生すると、その影響はBored Apesのみにとどまらず、広範な範囲に及ぶかもしれない。

「NFTのフロア価格が短期的に変動することはよくあること。ブルーチップNFTに対するコンセンサスは1日でできたものではなく、短期間で崩れることはない」とBendDAOは声明で述べた。

清算リスクにさらされているBored Apeの所有者のほとんどは、フロア価格が125イーサリアムだった数カ月前にBored Apeを購入した。フロア価格は現状、NFT市場が低迷するなかで約70イーサリアムまで下落している。

フロア価格がイーサリアム価格の変動に左右される、NFT取引の仕組みも問題を複雑にしている。BendDAOなどの融資サービスはイーサリアム建てになっており、イーサリアムがこの1カ月で1000ドルから2000ドル近くまで上昇しているため、一部のBored Apesは購入時よりも高いドル価格で清算されることになる。

60個を保有するクジラの動向

「Franklin has 60 apes」と名乗る大口保有者の動向も注目を集めた。Franklinはその名のとおり、60個のBored Apesを所有し、BendDAOから1万イーサリアム(約1750万ドル、約24億円)以上の融資を受けていたが、その後、すべて完済したとツイートした。

Franklinの事例は、他の暗号資産の多くのサービスと同様に、大口保有者、いわゆる「クジラ」がいかに大きな影響力を持つかを示している。特定の個人の動向がエコシステム全体を危険にさらす可能性がある。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:Yuga Labs, modified by CoinDesk
|原文:Many Bored Ape NFTs Are in Danger of Getting Liquidated as Borrowed Money Comes Back to Bite